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環境ビジネス情報

環境ビジネスで働く人に聞く!

持続可能な社会を構築するために

Sustainavision Ltd.
代表取締役 下田屋 毅 様

日本企業に対してサステナビリティ(CSR)に関するコンサルティング、研修、リサーチなどで発展を続けている「Sustainavision Ltd.」。
代表取締役の下田屋様に事業内容や今後サステナビリティ分野で求められる人材について、お話しいただきました。

これまでのご経歴についてお聞かせください

大学時代は社会学を専攻していました。大学時代、石弘之氏の「地球環境報告」を読んで地球環境問題の深刻さを知ったときに衝撃を受け、何とかしなければと思い環境関係の仕事に就きたいと思うようになりました。当時は環境コンサルタントはそれほどメジャーでなく就職先として考えられたのは、メーカーや商社の観点での選択肢でした。そして結果、重工業の会社に入社し、環境機械を取り扱う部門に配属となりました。そこでは工場の総務課に配属となりました。工場の総務は、非常に幅広い業務を取り扱っており、人事、労務、労使交渉、福利厚生などのほか、工場の主担当として労働安全衛生に携わることができましたが、現場での管理の難しさを肌で感じる経験をしました。
その後、出向で、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトで、廃プラスチックと紙くずから石炭の代替燃料となるRPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造するテストプラントの建設を新会社を立ち上げて行うこととなり、そちらで原料集荷の営業を担当しました。これは、環境ビジネスに直接的に携わりたいという思いを会社に伝え続けていたところ、大企業にいながら、再生可能エネルギーに関わる会社の立ち上げに携わることができたということで、この経験はその後の人生においても非常に良かったと思っています。

原料は産業廃棄物を分別した廃プラスチックと紙くずで、それらを収集するために関東近郊の大企業から中小企業まで走り回りました。RPF事業は、企業に廃棄物処理費をいただいて廃棄物として処理し、製造したRPFを販売するというビジネスモデルでした。RPFの原料は、紙くずを混合するので、二酸化炭素の削減につながることになり、モチベーション高く企業に提案していきました。
基本的には、アポイントメントをとって提案をしに行くのですが、工業団地などを訪問した際には、そのまま工場を片っ端から回るような飛び込み営業も行っていました。またこれら原料集荷の営業では、中間処理場だけではなく、収集運搬会社とのネットワークづくりも力を入れていました。収集運搬会社の方々も営業をして廃棄物を運搬してくれるので、RPFのメリットを理解してもらうと彼らも一緒に原料を集めてくれるようになりました。このように企業がリサイクルやISO14001の環境マネジメントシステムを進めていく中でうまく集まってくる仕組みができていったのですが、そこで私が感じたのは、ネットワークの重要性、そして企業はコストメリットを感じると早く行動を起こすということです。

また失敗もありました。スーパーマーケットの飲食店などから排出される廃プラスチックを回収することで、より多く回収しようとしたのですが、食品の残渣が残ってしまうという問題がありました。排出元のスーパーマーケットの廃棄物を回収するスタッフや収集運搬会社の方々にその分別方法を教えても、徹底がなされないことがあり、食品残渣がたくさん混入し、RPFの工場サイドで、食品残渣の混入がひどいので受け入れを停止するという決定がなされました。2トンもの食品廃棄物が混入した廃プラスチックをそのまま返却するというのです。営業担当としては、これが返却されたらスーパーマーケットの廃プラスチックを今後実施していくのには、より多くの時間がかかり、進めていくのが困難になると判断し、また工場作業者にも迷惑はかけられないので、なんとかしなければとの思いで徹夜で山になっている2トンもの廃棄物を1人で分別するということを行いました。これは大変でしたが、何が問題となっているのかが、明確になり、分別をした状態をその後再度提案し、教育を徹底していただくことで継続することができました。

さて、このようにネットワークを広げていくことで成功体験を得たので、今度は海外で実施して、環境ビジネスとして展開することができないだろうかと考えるようになりました。そしてもともと海外志向もあったので、留学を考えるようになりました。私のいた部門は、その当時海外に拠点を持って積極的に活動をしている部門ではなかったので、自分自身で、海外へ行く道を切り開いていくしかないと考え、自費で行こうと決めました。
当時は年齢的な問題で、その後の就職とか留学に否定的な声も結構ありましたが、もともと海外留学をしたいと思っていましたし、今しかないとも思っていたので、海外で環境ビジネスを実施するために留学すると決め準備を進めて、実際に留学をしたのは40歳になった年でした。

英国イースト・アングリア大学で環境科学を専攻し、その後、ランカスター大学でMBAを取得しました。卒業後、当時は英国には大学院などを卒業した留学生に2年間のビザが与えられており、現地で環境コンサルタント系の企業に入れないか模索していましたが、リーマンショック直後で景気も悪く、そのような状況で日本人が採用されることはまずありませんでした。
企業への出願を続けているうちに、ある会社から「自分で起業したらどうか?」という、アドバイスのようなメールが返信されました。まず環境コンサルで経験を積んで起業する形がベストとばかり思っていましたが、すぐに起業をする選択肢もあるなと思い、自身で会社を立ち上げることにしました。そして関連する本を読み漁ったり、ロンドンはもちろん、欧州のいろいろなネットワーキングに参加しながら2010年12月にCSRのコンサルティング、リサーチ、研修を行うサステイナビジョンをロンドンで立ち上げました。
このサステイナビジョンを立ち上げた理由は、当時は日本人で、欧州で日本とCSR/サステナビリティに関して情報提供をしながら橋渡しをする人がいなかったということがあります。最近ではそういったWEBサイトも増えて欧州のCSR/サステナビリティの情報が日本語で得られる機会も増えてはいますが、現地のイベントやカンファレンス、インタビューなどでネットワークを広げ、そこで得たその時の最新の情報を日本企業に記事を書いて伝えたり、研修でお伝えすることから始めていきました。

下田屋 毅(しもたや たけし)
  • 代表取締役

  • 1991年大手重工メーカー入社、工場管理部にて人事・総務・採用・教育・給与・労使交渉・労働安全衛生等を担当。労働安全衛生主担当として、工場の「安全衛生内部監査制度」を企画・導入。環境ビジネス(新エネルギー・R.P.F.製造) 新規事業会社立上げ後、2007年渡英。英国イースト・アングリア大学環境科学修士、英国ランカスター大学MBA修了。

  • ビジネス・ブレークスルー大学講師
    (担当:CSR/サステイナビリティ)
  • 一般社団法人 グローバル・アライアンス・フォー・サステナブル・サプライチェーン代表理事

  • 執筆講演多数。