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2017年9月号 ジオパークに行きませんか?

  9月(長月) 24節気 ⇒9月7日(木)〜白露・9月23日(土)〜秋分

本多静六の残したもの

日比谷公園の設計を担当し、明治神宮の杜のプロジェクトリーダーであった本多静六(1866〜1952年)をご存じでしょうか? 日本の造林学の祖であり、「公園の父」の異名を持つ人物です。公園の設計では、日比谷公園以外にも、羊山公園(埼玉)、臥竜公園(長野)、小諸公園(長野)、大濠公園(福岡)など、全国さまざまな公園の設計や改良を担当しています。さらに、東京の水源地である奥多摩水源林の経営の端緒を開いたのも本多氏の功績。国立公園法の制定に奔走したのも本多氏の重要な功績。

造園、林学などさまざまな分野での実務の他、教育にも携わった本多氏ですが、東京帝国大学定年退官後は、自らの人生計画の奉仕期と定め、70歳を過ぎた頃には晴耕雨読の日々を送っていました。
しかし、敗戦により、財産のほとんどを失い、その窮地を脱するために人生の指南書とも言うべき著書を執筆、80歳を過ぎてからは、その著書についての講演行脚に出るという晩年を過ごしています。

そうした華々しい履歴の中には、執筆当時にはまったく注目されなかったものもあります。本多氏は各地の観光地の風景や風土を利用した振興策も数多く提唱していて、「由布院温泉発展策」といった企画書も書いています。これには当時別府温泉の影に隠れて寂れていた湯布院温泉を、ドイツのバーデンバーデンを模範として、街全体を森林公園にする振興策が盛り込まれていました。書かれた当時は、それが実現することはなかったのですが、戦後になってこの企画書の存在が見直され、地元の人々の努力により、現在の湯布院の繁栄がもたらされたといいます。 国立公園、全国のさまざまな庭園、そして湯布院のような観光地。本多氏の遺業は日本各地に潜んでいます。秋のひととき、明治の偉人の風韻に触れるのもいいかもしれません。

ジオパークに行きませんか?
◆◆地球の営みと自然の営み、そして人間が風景を作り出す

NHKの番組「ブラタモリ」をご覧になっている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか? 文字通り、タモリさんがあちこちの街をぶらぶらする情報バラエティー番組と思ったら大間違い。世界でも類を見ないであろう、地学バラエティー番組なのです。地学マニアのタモリさんに引きずられて、番組の方向性が少しずつ地学寄りになり、それが視聴者にも受けている結果でしょう。「柱状節理」などという単語が、土曜日のゴールデンタイムで普通に話題になる番組、世界にはあまり例がないのではないでしょうか? 普段、誰も興味を示さないような地学をここまで身近に、しかも興味深く番組にできるなどと、誰が考えるでしょうか?

もうひとつ、NHKスペシャルで最近大きな反響を呼んだのが、「列島誕生ジオ・ジャパン」です。2週にわたって、日本列島誕生の謎に挑んだ番組で、4つの事件が現在の日本列島を作り上げたといいます。
2500万年前、ユーラシア大陸の端にできた裂け目が広がり、太平洋から海水が入り込み日本海のもととなる巨大な入江ができました。列島誕生の瞬間です。さらに数百万年かけて陸地が大陸から引きちぎられ、日本列島のもとが2つに分かれて海へと出ていきます。これが第一の事件。その後、日本海で数多くの海底火山が噴火し、火山灰が降り積もって青森県下北半島仏ヶ浦の絶景を作り上げたといいます。この大陸からの分断は太平洋プレートの仕業です。

発生当初日本列島は2本に別れ、現在の富士山を取り巻く南関東は海だったといいます。そこに、西から火山島が連続衝突して、今のような日本列島の元になったといいます。これが第二の事件。これにはフィリピン海プレートの存在が大きく関与しています。第三の事件は、現在の紀伊半島で起きた巨大なカルデラ噴火。これが1400万年前といいます。その際にできた巨石が比重の関係で地表に押し出されたのが、古座川の一枚岩なのだとか。

最後の事件は、300万年前。房総沖の海底7000mで、大陸プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートがぶつかり合い、フィリピン海プレートが北から北西へと方向を変えることにより、大陸プレートが押されて始まった「東西圧縮」です。この事件が起きるまで、日本は平坦な島だったそうなのです。この東西圧縮のおかげで、列島を縦走する山脈が形成されたのだそう。その証拠は、八海山の頂上に散らばるおびただしい石ころ。これが丸みを帯びているのです。丸みを帯びている石は河原に転がる石。そう、2000メートルを超える八海山はかつて、平地だったのだそうです。

このように、地球46億年の歴史で起きたことはことごとく我々の想像を超えた、超大スケールの事件の連続です。プレートの移動や大噴火、雨風による浸食などなど壮大なドラマが展開されているのです。しかもその証拠となるような地形が剥き出しになっているポイントも、日本列島には数多くあるのですが、残念ながらそうした知識がないと「わー、すごい」で終わってしまうことがほとんど。地学的背景を知らなければ「わー、すごい」とさえ思えない、地味な風景に見えることすらあります。

そうしたいわば地学遺産ともいうべき、地球の不思議を実感できるポイントをジオサイトとして指定し、それをわかりやすく自然の中で展示しているのがジオパークです。現在日本には、日本ジオパーク委員会が認定したジオパークが43地域あります(2016年9月現在)。その内、8地域がユネスコ世界ジオパークにも認定されています。
日本のユネスコ世界ジオパークは、洞爺湖有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、山陰海岸(鳥取、兵庫、京都)、室戸(高知県)、島原半島(長崎県)、隠岐(島根県)、阿蘇(熊本県)、アポイ岳(北海道)の8地域。

火山との共生:洞爺湖有珠山ジオパーク 糸魚川ー静岡構造線(フォッサマグナパーク) 阿蘇ジオパーク:北外輪火砕流ジオサイト(鍋ヶ滝)

10月25日(水)~27日(金)には、「日本ジオパーク活動開始10周年記念第8回日本ジオパーク全国大会2017男鹿・大潟大会」が開催されます。日本ジオパークが活動を開始して10年の節目の年にあたる2017年に、テーマを「あしたへ~日本のジオパーク!東北から発信!~」とし、秋田県内のみならず、東北地方をあげて、国内のジオパーク関係者や地域の人々に東北地方のジオパークの魅力を知ってもらい、ジオパークを核とした地域活性化と日本人の「あした」を考える大会となるということです。

秋の休みには、地球の壮大なドラマを身近に感じられるジオパークを目指してみてはいかがでしょう?