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環境ビジネス情報

環境ビジネスで働く人に聞く!

次の世代へバトンを引き継ぐために

東京都市大学環境学部教授
環境ジャーナリスト・翻訳家
枝廣 淳子 教授

「環境ビジネスで働く人にきく!」今回は東京都市大学環境学部で新たに教鞭をとられることになられた枝廣淳子教授にお話を伺いました。

既に複数の会社・団体を運営され、幅広い活動をされていた先生が、新たに大学で教鞭をとることとなった経緯や背景についてお聞かせください。

環境問題を解決するということについて、主に私の場合は「伝える」という活動と「つなげる」という活動を通じてやってきました。ずっと国内や海外で活動をしてきて思ったことは、当たり前のことなのですが、自分の世代で解決できる問題ではないなということです。そうしたときに、私を含めて現世代が一生懸命続けることはもちろんなのですが、同時にその次のバトンを受け取って続けてやってくれる人たちを支援することもすごく大事だなと思うようになったのが、今から5~6年前ですね。

それから、自分の活動の中で出来る範囲で若い人たちに呼びかけるといった活動をしていたのですが、そんな中でご縁があって東京都市大学にお声がけを頂きました。
これまで私がやってきた「チェンジ・エージェント」という変化の担い手を育てるということと同じく、私が大事だと思ったことを学生さんたちに伝えられる機会をいただけるのはすごく嬉しいなと思いまして、こちらの大学で教鞭をとらせていただくことになりました。

東京都市大学の環境学部には「環境創生学科」と「環境マネジメント学科」がありますが、全体の特徴や研究テーマについてお聞かせください。

環境学部ができたのは20年前で、日本の大学で初めてISO14001を取得したということもあり、日本の中でもかなり早くから環境に取り組んできた大学です。「環境創生学科」は生態系が中心です。砂漠化したところを緑地に戻すなど、理系色が強い学科です。「環境マネジメント学科」は、どちらかというと文系色が強いですが、文理融合で理系出身の学生もたくさんいます。政策と経営のグループに分かれていて、国際法や国内法など法規制的な文脈で取り組まれている先生方と、「経営」のほうは例えばLCAとか、私がやっているCSR、企業経営・組織経営に関わるようなところを研究している先生方がいらっしゃいます。

環境学部は、両学科の先生を合わせると20人ぐらいです。分野はそれぞれ異なりますが、仲が良くて、色々な活動を共同で行っています。例えば横浜市や都筑区(横浜市)のプロジェクトは環境学部として行い、学科の壁を越えて学生たちが集まり、取り組んでいます。そうすることで、生態学的な側面も法律・経営の側面も、一緒に学ぶことができます。「文系理系の融合」が環境学部の強みの一つですが、このように先生方の専門性も融合した形で教育・研究を進めています。通常は研究室も縦割りになりがちですが、学科の壁を超えて、本当に横浜市や都筑区といった地域のために活動できるのはこの学部の強みではないでしょうか。

先生が指導されている環境マネジメント学科での授業についてお聞かせください。

私は主に「環境コミュニケーション」や「CSR」に関する授業を担当しています。例えば政策はとても大事ですが、良い政策や施策をつくっても、世の人に分かってもらえないと意味がありませんし、それがどういう問題であるか科学者がわかったことを、一般の人に伝えるということも大事だと思っています。授業のうち少なくとも数回は、例えばCSRであれば実際に企業の方に来ていただいて、企業で何をやっているのか、どういったことが課題なのか、ざっくばらんに学生と意見交換をしていただくということをしています。そのような授業を通じて、「伝える」「つながる」ということを学んでもらいます。

「環境コミュニケーション論」という授業では、コミュニケーションの技術的なことを学ぶとともに、1人1人が伝えたいことを見つけて、それを伝えるためのプロジェクトを立案して発表し、実際にプロジェクトを進めて、結果を発表する、ということを2ヶ月半かけて行っています。去年の学生たちはたとえば、学生たちに3Rの大事さを伝えたいとか、ちょうど夏になる前だったので、「打ち水」の大事さを伝えたいというプロジェクトを考え、キャンパス周辺で水を撒いている学生もいました。実際にコミュニケーションをして働きかけるという体験を通じて学ぶ、ということをやっています。

「伝える」と「伝わる」と言うのは違うと思っているのです。やってみないとわからない、伝えたつもりでも伝わっていない。人間関係でもよくありますが、環境問題も同じで、政府が伝えたつもりでいろいろなことを言っても、国民には伝わっていないということがあります。伝える活動をすることで本当に伝わったかどうかを見る。そういうことを繰り返し行っています。

枝廣 淳子(えだひろ じゅんこ)
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了
環境ジャーナリスト、翻訳家、
(有)イーズ代表、
(有)チェンジ・エージェント会長、
NGOジャパン・フォー・サステナビリティ代表、
幸せ経済社会研究所所長、
東京都市大学環境学部教授

「不都合な真実」の翻訳をはじめ、環境問題に関する講演、執筆、企業のCSRコンサルティングや異業種勉強会等の活動を通じて、地球環境問題や新しい経済や社会のあり方、幸福度、レジリエンスを高めるための考え方や事例について研究。
「伝えること」で変化を創り、「つながり」と「対話」でしなやかに強く、幸せな未来の共創をめざす。