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環境ビジネス情報

エコリク Newsletter

2016年12月号 地域で取り組む再生可能エネルギー

  12月(師走) 24節気 ⇒12月7日(水)〜大雪・12月21日(水)〜冬至

現在の社会を見つめる映画

先日、『さとにきたらええやん』(撮影・監督重江良樹)と『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』(監督アンドリュー・モーガン)という2本のドキュメンタリーを観る機会がありました。

『さとにきたらええやん』は、大阪府西成区鎌ヶ崎で、38年続く「子どもの里」という施設とそこに集まる子どもたち、大人たちを追ったドキュメンタリー。ひと言でいえば、民間の児童館なのですが、それ以外にも様々な事情で家に帰れない子どもたちの「居場所」を提供してくれる完全無料の施設です。鎌ヶ崎には、労働しているにも関わらず、いわゆるホームレスの人たちも多く、若者グループに襲われるといった事件も起きている地域。「里」の子どもたちが寒さの中佇む労働者に差し入れを配布するといった情景も描かれています。人と人のつながりの大切さを噛みしめたくなる作品です。

『ザ・トゥルー・コスト』の方は、いわゆるファストファッションが目を疑うような安価な製品を各国で販売している裏で、バングラディシュなどの国で過酷な環境下での超低賃金の労働を強いている現実を見せてくれるドキュメンタリーです。先進国で売れ残ったり、捨てられた衣服はリサイクルと称して、また別の地域に送られたりしますが、それがまた地元の縫製業を壊滅させる原因になっているなど、知らなかった情報も満載です。

こうしたドキュメンタリー作品は、一般の映画館ではなかなか観られませんが、それぞれの地域で有志が手作りの上映会を開いているケースが多いようです。あなたの住んでいる地域でも、派手な宣伝はなくてもひっそりと上映会が開かれているかもしれません。新たな視点で、世界を見つめる方法が横たわっているかもしれませんよ。

地域で取り組む再生可能エネルギー
◆◆合い言葉は「再生可能エネルギーの地産地消」

巣鴨駅前商店街はJR巣鴨駅から南北に国道17号線(中山道)を挟むように伸びる商店街。いつの頃からか「お年寄りの原宿」と呼ばれ、一大観光地となっています。国道17号線は道路拡幅事業によりユニバーサルデザインを取り入れ、歩道整備を行うなど人にやさしい商店街を実践しています。近隣に大きな建物がなく陽当たりのいい商店街には、平成3年に施工された全長270mの勾配屋根型アーケードがありますが、国道と交差する道路部分には規制上アーケードを設置することができず、アーケードが断続的に設置されていました。そんな中、規制緩和の一つとして道路法施行令(第10条)の改正により道路交差部分のアーケード設置が認められ、アーケードが連続することに。環境に対してできることはないか?と模索していた商店街では、このアーケードにソーラーパネルを設置し、再生可能エネルギーの発電に取り組んでいます。

アーケードに設置したソーラーパネルは、縦80cm横160cmの大きさで、全部で188枚。ソーラー化による節電効果として、当初アーケードで使用する電力の10%程度を見込んでいましたが、4月から7月の4ヶ月間の実績を見ると約54%強の節電効果と4ヶ月間で2198.8kg‐CO2/kwhの二酸化炭素が削減効果があったといいます。今では、「巣鴨駅前商店街太陽電池発電所」と地元では呼んでいるそうです。

巣鴨を訪れた人々が、商店街の環境に対する取り組みに刺激され、一人ひとりが自分自身で環境に対して何か考えるきっかけになれば理想的です。この商店街の取り組みは東京販売士協会が主催した「エネルギッシュ・タウン 私の街」発掘事業において、エネルギッシュ・タウン賞を受賞しています。  (巣鴨商店街アーケードのソーラーパネルについての詳細)

一方千葉県の北東部に位置する北総線沿線の白井(しろい)市では、「白井再生可能エネルギー協議会」が活発な活動を展開しています。福島原発の事故を契機に「自分たちが主体となってエネルギー創出や省エネルギーに関わっていこう」と市民だけでなく環境団体や事業者とも協議を重ね、2012年9月に発足しました。現在、個人会員32名と5団体が活動に参加しているといいます。

勉強会や先進事例の視察などを経て、2015年6月にソーラーシェアリングによる49.5kWのソーラー発電所を開業。ソーラーシェアリングは、第一種農地など農地転用が難しい田畑に支柱を建て、農地の上空にソーラーパネルを設置し、耕作を継続しながら発電事業を行うもの。100Wのパネルが504枚並んだ姿は壮観です。

ソーラーシェアリングしろい富塚

ソーラーシェアリングでは「下部の農地における単収が同じ年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減少しない」というのが条件になっているため、パネルの下の農地での営農も大きな関心事。そのため、作物の生育にも最大限の注意を払わなくてはなりません。植えられている作物は、トウモロコシ、サツマイモ、ネギ、枝豆用大豆、スイカなど。実証実験的な要素もあるのか、さまざまな作物の栽培に取り組んでいます。中でも、トウモロコシなどはパネルの高さぎりぎりまで育つ作物です。パネル下に植えたものは、そうでないものよりも高く育つといった現象が見られましたが、パネルのない場所に植えたものと比較して、育成状況に影響はなかったということです。さらに、白菜など、冬に収穫を迎える作物に関しては、パネル下の作物は霜による被害が少なく、外側の葉も青々としているということで、ソーラーシェアリングによって収穫増が見込める可能性も出てきました。2015年6月から、2016年3月までの発電量は、42,472kWh、売電金額の合計は、146万7891円となっているといいます。

3・11とその後に始まった固定価格買い取り制度により、各地で市民発電が盛んになっています。市民の手で、再生可能エネルギーを生み出し、エネルギーの地産地消を実現する。そんな志に満ちた活動です。現在、首都圏で市民電力連絡会に加入している団体だけでも40以上の団体が活動中です。あなたの住んでいるところでも、そんな活動が始まっているかもしれません。時間や労力の提供といった形で手伝うのは難しいかもしれませんが、寄付や出資という形での参加も可能。新しいエネルギーの担い手は市民という社会が訪れるかもしれませんね。  (ソーラーシェアリングしろい富塚についての詳細)