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環境一般 2017年11月号 交通問題と環境問題

  11月(霜月) 24節気 ⇒11月7日(火)〜立冬・11月22日(水)〜小雪

途上国から帰ってきました

皆様こんにちは。グレイスの渡邉功と申します。人材ソリューション事業部にてマッチングディレクターとして勤務しておりますが、しばらくの間、ゼネコンに出向し海外、特にアジア途上国で土壌汚染対策に関るコンサルティングに従事し、9月末に帰国しました。 食事や衛生面に加え、政治や宗教と言ったいわゆるカントリーリスクの洗礼も受け、控えめに言っても劣悪な就業環境でした。それでも、かつて日本が体験したレベルの公害問題の現場に行き、その対策事業に関われたことは大変貴重な経験だったと思っています。すでに環境ビジネスは国内の環境を保全することだけに止まっていては頭打ちです。グローバルでの事業展開がますます進み、人材不足も相俟って、人材の発掘やマッチングの社会的意義と需要はますます高まっています。今後も環境ビジネスの最前線で活躍する人と企業の懸け橋となるために、当社のグローバル化を進められるよう、この経験を活かしていきます。今はとりあえず日本の美味しい料理、そして綺麗なトイレの素晴らしさを改めて実感しているところです。

土壌汚染対策は東京都の豊洲・築地移転問題にも浮上しました。現在、国内でも海外でも土壌環境に関する法規制が進んでいます。土地の開発・売買やM&Aを実施する際に土地の価値を判定するうえで評価(環境デューデリジェンス)を行います。実際に土や地下水を採取して化学分析をして、有害物質の含有の有無をチェックします。もし汚染の可能性が確認された場合には、様々な手法で汚染の拡大防止や浄化工事を進めていきます。

それを判断するためには当然基準となる制度、測定手法が必要となるわけですが、途上国ではまだまだ整備されていないのです。今でこそサンプリングやデータの届け出が義務付けられていますが、そうした制度が整ったのはごく最近です。それも日本や米国に比べれば、その基準や判断はまだまだ緩く、汚染の責任者の定義について明確でないなど厳格に運用されているとは言い難いというのが現状です。環境に関する法律や測定手法がまだ整備されていない場合、他国のもの(米国環境庁等)や国際的に認められた手法が採用されます。

土壌、地下水汚染が健康に与える影響は甚大です。日本国内ではそうした健康被害を耳にすることは少なくなりましたが、途上国では都市部、農村部共に大きな問題となっています。井戸水のヒ素汚染などは途上国では特に深刻です。地理的な特性も関係し、比較的濃度が高い地域が多いことに加え、ヒ素は無味無臭のため、汚染が解りづらく、大規模に拡大してしまうという傾向にあります。 実際に現地で生活する中で、汚染されている可能性が高い水辺で平然と遊ぶ子供たちを見ると現場での汚染浄化だけでなく、環境教育の重要性も強く感じました。

交通問題と環境問題
◆◆途上国の大気汚染の原因は日本車??

モータリゼーション! それは国の発展の象徴。 一部の富裕層だけではなく、一家に一台、車を持つことができるようになり、流通する自動車台数が爆発的に増えることです。日本では今から50年前、そして中国やアジアでは現在進行中です。私が子供のころの中国のイメージは大量の「自転車」でしたが、私の隣にいる若手社員に聞いてみるとそんなイメージは全くないようです。軽くショックですね。ただ最近では北京など一部の都市でシェア自転車が爆発的に増えているそうです。

ご存知の通り、日本車は海外でも評価が高く、多くの国で馴染みのあるエンブレムを見ることができます。これは新車に限らず、中古車についてもかなりの数が出回っていて、新車同様に高いブランド力を持っています。ただ最近は日本製以外の粗悪な中古部品が多く出回り、これが日本車に使われるようになっているそうです。そうすると、環境基準を逸脱した排ガスが見た目上、日本車から排出されることになり、結果的に性能の優れた日本車が、途上国の環境汚染に繋がってしまうのです。もちろん日本車だけではありませんが、車検がないことも相まって、排気ガスによる大気汚染は途上国の都市部では深刻なものとなっています。

日本の純正部品は高く、現地の人々にとっては価格こそが最優先となります。それに加え、彼らの移動手段である車(旧式車やバイク)の動力は化石燃料に限られています。一部は日本のようにサルファー(硫黄)フリーガソリンやエコカーが試験的に導入され、対策も行われつつあるようですが、鉄道や環境に配慮した交通手段が普及していくのは当分先でしょう。

技術的な革新が経済的に難しいということであれば、やはり制度の普及が肝要です。先進国が新たな基準や制度をつくることは、途上国にとってロールモデルを描く分かりやすい指針・基準を創る大切なことであると考えます。

中国のシェア自転車 エコレールマーク モーダルシフトの効果

例えば「エコレールマーク制度」というものがあります。これは端的に説明しますと、鉄道でモノを運んだ方がトラックで運ぶよりCO2削減やエネルギー効率良いから推進しよう、というものです。トラックから貨物輸送に転換することを「モーダルシフト」といいますが、これも新たな環境制度の取り組みの1つですね。とは言え、導入には一定以上輸送量が必要であったり、そもそも電車が遅延した時はどうするんだ、というリスクをはらんでいたり、まだまだ改善の余地はあるようです。それでも、先進国が新たな規制を早期に導入し、運用し、改善していくことで、途上国が導入する頃には諸々の問題点も考慮されたワンランク上の制度に仕上がっているのであればそれは良いことでしょう。新たな環境規制に積極的に取り組んでいくことは、環境負荷の少ない優れた製品だけでなく、GHG排出量削減に繋がる技術や仕組みなど、環境サービスの創造につながります。そして、そこで生み出された新たな製品やサービスを輸出することで、日本は世界の環境問題の解決に貢献していくことになります。新たな法律や制度は、身近な生活だけでなく、世界の変化につながるということを考えて見つめてみると、いろいろと発見がありそうですね。