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廃棄物 2018年8月号 世界が動き出したプラスチック汚染対策

  8月(葉月) 24節気 ⇒8月7日(火)〜立秋・8月23日(木)〜処暑

土砂災害・深層崩壊の予測

平成30年7月豪雨により被災された皆さま、ご家族、ならびに関係者の皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

今回の豪雨の原因を気象庁は、梅雨前線の停滞とそこへの大量の水蒸気の供給により発生した「線状降水帯」であるとしています。「線状降水帯」は、「次々と発生する積乱雲群が数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞し、強い降水をともなう雨域」のことで、鬼怒川の堤防が決壊した「平成27年9月関東・東北豪雨」や記憶に新しい「平成29年7月九州北部豪雨」でも原因となりました。

平成30年7月豪雨では土砂災害が多く、1道2府28県で1,408件発生し、近10年の年間平均土砂災害発生件数1,106件/年を上回りました(国土交通省資料より)。
ところで、傾斜地の水が浸透しない不透水層の地盤まで染み込んだ大量の雨水が原因となって発生する深層崩壊は、表土層だけでなく深層の地盤までもが崩壊土塊となって崩れ落ち、土砂災害の中でも特に大規模な被害をもたらします。降雨のピーク後に発生することもあるため、予測が難しいとされています。

現在、国土交通省や研究者によって、深層崩壊予測の研究が進められています。傾斜地に大量に染み込んで深層崩壊を起こす原因となる雨水は、イオンが多く含まれた地下水となって渓流に流入します。傾斜地からの地下水の流入量が増えると渓流の流量と電気伝導度が高くなりますので、傾斜地周辺の渓流の流量と電気伝導度を継続的に調査・把握することで深層崩壊の前兆を予測しようとするものです。
ボーリング等が必要な地質調査と異なり、渓流水調査は比較的容易で、測定機械も安価で専門的な知識も殆ど必要とされませんので、近隣住民の協力による調査も期待されています。

こうした手法が確立されて、予測が難しい自然災害の被害が今後減っていくことを願いつつ、あらためて被災地の一日も早い復旧と被災された皆さまの平安をお祈り申し上げます。

世界が動き出したプラスチック汚染対策
◆◆〜脱プラスチックの流れ〜

先日カナダで開催されたG7シャルルボワ・サミットで、自国でのプラスチック規制強化を進める「海洋プラスチック憲章」に日本とアメリカが署名しなかったことに国際的な批判が高まっています。「規制は産業界や消費者への影響が大きく、日本はまだ準備が整っていない」という政府見解によるものです。

海洋プラスチック問題とは、人間生活から廃棄されるプラスチックごみが沿岸部や海に流出し、生態系破壊や人体への健康被害、沿岸部の経済社会へのダメージ等を引き起こしている問題です。フィリピンやインドネシアの海岸に外洋から流れてきたプラスチックが大量のゴミの山となっている写真が知られていますが、日本の海岸も例外ではありません。

海洋に流れ出たプラスチックは、熱が加えられたり太陽の光があたって砕け、直径5mm以下のマイクロプラスチックとなり、海の生物が捕食するため、海の生態系への影響が心配されています。環境省が2014年に実施した調査では、日本海や東日本の太平洋沖などの海岸から数百km離れた海域に、平均で海水1tあたり2.4個のマイクロプラスチックが浮いており、生活圏に近い近海より外洋の方が量が多い結果となりました。今すぐに食べた魚から有害物質が体内に蓄積されるという危険は少ないですが、既に地球レベルで汚染が拡大していると考えられます。

アジアの国に旅行すると、買った物を個別に包まず薄手のレジ袋にポンポンと入れられて渡されることが多いですが、今回問題となっているプラスチックは、そのようなレジ袋やストロー等の使い捨てプラスチックです。国連の推計ではプラスチックごみの廃棄量は年3億tにも上り、海洋プラスチックごみの量は年間800万tと推定されています。(2015年サイエンス)

国連環境計画(UNEP)の報告書(2018年6月)によると、使い捨てプラスチックを最も多く出しているのは中国で約4千万t/年(2014年)ですが、1人あたりに換算すると日本は約32kg/年で世界2位(1位のアメリカは約45kg/年)のプラスチック消費大国です。

日本は廃棄物処理対策が進んでいて、ダイオキシン類を発生せずにプラごみを完全燃焼する高熱炉焼却施設の整備や容器包装リサイクル法による資源回収により、ポイ捨てされた大量のプラごみを目にすることはあまりありません。しかし、2020年までに2万8千ある世界全店舗でプラスチック製の使い捨てストローを全廃すると発表したスターバックス、2002年にレジ袋税を採用したアイルランドや2008年からレジ袋の使用を禁止したアフリカのルワンダなど、使い捨てのプラスチック製品を使わないようにする「脱プラスチック」の流れは世界的に強まってきています。ECでも加盟するすべての国が2025年まで使い捨てレジ袋の使用を1人あたり年間40枚までに削減すると決定され、各国がその対策に取り組み始めました。

海岸のプラスチックゴミ マイクロプラスチックの生態系への影響 世界のレジ袋規制

持続可能な開発目標(SDGs)は、海洋と沿岸の生態系を持続可能な形で管理し、陸上活動に由来する汚染から守る「海洋資源の保全」をグローバル目標の一つとしています。
洗顔料や歯磨き粉などに含まれるプラ微粒子の製造と販売の自粛をメーカーに求める海岸漂着物処理推進法(「美しく豊かな自然を保護するための海岸における良好な景観及び環境の保全に係る海岸漂着物等の処理等の推進に関する法律」)の改正や、使い捨て製品の削減などを柱とする「プラスチック資源循環戦略」の策定など、日本の行政も動き始めましたが、「使わない」「捨てない」という私たち一人ひとりの意識が必要ですね。