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防災 2018年10月号 北海道地震の液状化と私たちの暮らし

  10月(神無月) 24節気 ⇒10月8日(月)〜寒露・10月23日(火)〜霜降

環境危機時計の針、14分進む

「環境危機時計」の針が14分進み9:47となったというニュースが流れました。「環境危機時計 (The Environmental Doomsday Clock)」とは、旭硝子財団によるもので、世界の環境有識者に対して行う「地球環境問題と人類の存続に関するアンケート」の結果に基づき算定されます。2018年版は139カ国1,866名が回答しました。居住する地域の環境に関する9つのうち重要と考える3つについての環境危機の時刻を尋ね、回答を加重平均したものです。項目は国連の17のSDGs(持続可能な開発目標)とも関連付けられています。また9:01〜12:00が「極めて不安」な状態と定義されています。1992年の調査開始時は7:49 でした。

今回の特色は、昨年より14分進み9:47と、過去もっとも進んだこと、2016年の調査では全体よりも30分遅れていた日本の有識者の回答が16分遅れと世界平均に近づいたこと、これまでは60歳代に強かった危機感が、今年は20-30歳代にも広がったこととされています。例年通り、他の地域よりも北米、西欧の有識者の考える危機時刻が進んでいます。

事態を把握する際に「時計」を採用する例には、核兵器による世界の破壊を対象とした「世界終末時計」もあり、こちらも、「終末」への接近度合いを時刻で象徴的に表しています。

「世界の終わり」「審判の日」までの時刻を表すdoomsday clock。危機感に煽られないようにしつつも、針が進まないことを祈らずにはいられません。

北海道地震の液状化と私たちの暮らし
〜そのメカニズムと防災への知識〜

9月6日に「北海道胆振東部地震」(以下「北海道地震」)が発生しました。北海道で初めて震度7を記録し、全国で初めて大規模停電「ブラックアウト」が発生しました。そして、内陸の札幌市清田区里塚では住宅地の地盤に液状化が発生し、大きく傾いた住宅や陥没した道路の映像は衝撃を与えました。実はこの現象は、全国、どこで起こってもおかしくないとも言われています。そこで、今回はこの「液状化現象」について、詳しく見てみましょう。

地盤の液状化現象とは、地盤を構成する砂が地震動を受け周囲の地下水とともに液体のように挙動し構造物を支える力を失うものです。英語では “soil liquefaction” と呼ばれます。

Dr. ナダレンジャー(防災科学研究所)が開発した体験装置「エッキー」を用いると、ペットボトルと砂、水という簡易な装置で液状化の様子を観察することができます。水で満たされた砂に地震動に見立てたちょっとした振動を与えると液状化が発生し、砂の中に埋まっていたマップピン(地中のマンホールに相当)が浮き上がるのです。ウェブサイト等に映像や解説が公開されています

新潟地震液状化被害 液状化のメカニズム 液状化マップ

他の場所から土砂を入れる盛土(もりど)により造成される場所は、地下水位の高い埋立地が多く、液状化の発生事例が多くあります。例えば、1964年の新潟地震では県営アパートが傾いたり倒れたりしましたし、1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)では神戸港とその周辺の埋立地や岸壁で多数発生し、港が2ヶ月間閉鎖される一因となりました。2011年の東北沖太平洋地震(東日本大震災)では、千葉県の沿岸部である浦安や幕張で、道路全面に水が湧いて出る映像や、道路が陥没してマンホールが飛び出た写真を覚えていらっしゃる方も多いでしょう。

液状化が発生する条件は、下記の4つであるともされています。

  • ①サラサラとした砂で構成された地盤
  • ②ゆるく堆積した砂
  • ③砂の周囲の地下水
  • ④強い地震動

では、今回、なぜ、内陸の里塚で発生したのでしょう。発災後に調査に入った研究者や技術者の報告によると、この地域は、1978〜1980年に原野や畑を火山灰質の土で埋め立てて造成、販売された住宅地であり、元は谷だったことが確認されました(液状化発生の条件①、②)。直前まで台風21号による豪雨があったことから、地下では元の谷筋に沿って水が流れた可能性があります(条件③)。そして、里塚のある清田区で震度5強が観測され(条件④)、さらに地震動により水道管や暗渠の管路が破損し地盤に水が供給されました(条件③)。このようにして①から④の4 つの条件が整い内陸での液状化が発生したと、現時点では考えられています。

里塚は特異な事例ではありません。我が国ではこれまでに谷を埋め立てた住宅地が多く造成されています。地滑りや液状化の危険性が広く知られるようになり、国は、地方公共団体が行う盛り土の分布図の作成や地盤改良工事を助成していますが、不動産価格への影響の懸念や、調査や改良のための多額の費用が障壁となって、必ずしも進んでいるとは言えない状況です。

それでも私たちにできることはあります。一定規模の造成については、過去の盛土の経緯をまとめた情報が参考になるかもしれません。例えば、札幌市は「札幌市大規模盛土造成マップ」を公開しています。地域や地点によっては地盤調査報告書や、ボーリング調査結果をまとめた「柱状図」が手に入る場合もあります。国土地盤情報センターは地盤調査情報のデータベースを構築しており、災害時には復興支援を目的として一般に公開します。10月2日現在、北海道内のボーリング柱状図が公開されており、私たちもアクセスできます。このようにして、自分の住む土地を知り、備えることもできるのです。災害で得た経験や知識を活用し、より安全な社会を作るための活動を続けていきたいものです。

少しでも災害時の被害が減少していくことを祈りつつ、あらためてこのたびの台風、地震により被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げるとともに、早期の復旧、復興をお祈りいたします。


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