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生態系 2018年11月号 ラムサール条約に2ヶ所の湿地が追加登録

  11月(霜月) 24節気 ⇒11月7日(水)〜立冬・11月22日(木)〜小雪

日本社会は人材不足?

最近、どの産業分野においてもAI(人工知能)やIoTなどのIT用語が飛び交っています。そんな社会の変化に対して、11月上旬に2つの注目すべきニュースが報道されました。

一つは、外資系人材紹介会社ヘイズ・スペシャリスト・リクルートメント・ジャパン株式会社(以下ヘイズ)の世界33カ国のハイスキル労働市場における人材の需給効率を評価・分析した「グローバル・スキル・インデックス」の発表です。この調査で、日本は33カ国中最も人材不足が深刻であるとの評価を受けました。ここ数年売り手市場といわれ、新卒の就職状況は好調ですが、実際には企業が求めているスキルと、求職者のスキルが大きくかい離しているという実態が浮き彫りになりました。IT関係の急速な技術の進化に日本の人材が持つスキルが不足しており、ヘイズはその背景には日本の高等教育や、終身雇用制度における評価制度などがあるとしています。

二つ目のニュースは経団連が発表した提言で、日本の社会が目指すあるべき姿を「創造社会」と名付け、AIなどの技術革新を見据えて、企業活動や教育などの分野で変革が必要になるとしています。今後、AIやロボットなどのデジタル技術の進展によって個人の生活や産業構造が根本的に変わるとし、その実現に向けてのアクションプランとして、「新興企業の育成」「日本型雇用慣行の見直し」「文系と理系に分けた教育の見直し」などを掲げています。

この二つのニュースに共通なキーワードは「IT技術における人材不足とその育成」ですが、持続的な社会形成に向けた目標、SDGsを取り巻く社会でも必要とされるスキルを持った人材が不足しており、その育成が課題となっています。
SDGsの達成に向けて、サステイナブルビジネスを展開する企業と、次代を担う能力を備えた「サステイナビリティ人材」の支援が必要な社会になることを見据え、グレイスは新たなプラットホームとして、一般社団法人サステイナビリティ人材開発機構(Sus-Pro)を8月に立ち上げ、新しい活動を展開しています。

あと半年で平成が終わります。日本は時代が望むIT社会やSDGsで必要とされる人材を育成していきたいものです。

ラムサール条約に2ヶ所の湿地が追加登録
〜条約の目的は自然保全だけではありません〜

2018年10月18日に都立葛西海浜公園の干潟と宮城県志津川湾の藻場がラムサール条約湿地登録簿に掲載され、日本の登録湿地は52ヶ所になりました。

ラムサール条約は1971年2月2日にイランのラムサールで開催された国際会議採択の国際条約で、正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といいます。基準として以下の9つがあり、これらのいずれかに該当する湿地が登録されます。天然のものであるか人工のものであるか、永続的なものであるか一時的なものであるかは問いません。

  • ① 特定の生物地理区内で代表的、希少、または固有の湿地タイプを含む
  • ② 絶滅のおそれのある種や群集を支えている
  • ③ 特定の生物地理区における生物多様性の維持に重要な動植物を支えている
  • ④ 動植物のライフサイクルの重要な段階を支えている。または悪条件の期間中に動植物の避難場所となる
  • ⑤ 定期的に2万羽以上の水鳥を支えている
  • ⑥ 水鳥の1種または1亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている
  • ⑦ 固有な魚類の亜種、種、科、魚類の生活史の諸段階、種間相互作用、湿地の価値を代表するような個体群の相当な割合を支えており、それによって世界の生物多様性に貢献している
  • ⑧ 魚類の食物源、産卵場、稚魚の生息場として重要なあるいは湿地内外の漁業資源の重要な回遊経路となっている
  • ⑨ 鳥類以外の湿地に依存する動物の種または亜種の個体群の個体数の1%以上を定期的に支えている

今回登録された葛西海浜公園は人工干潟で、基準の④⑤⑥が該当します。二枚貝類、甲殻類、多毛類など多くの生物が生息するため、カモ類をはじめとする渡り鳥の飛来地となっており、特にスズガモやカンムリカイツブリに関しては、アジア地域個体群の1%以上が飛来して越冬する国際的にも重要な生息地で、東京都では初めての登録になります。

一方、宮城県志津川湾は基準の①②③④⑥を満たし、湾内には、アマモ場、コンブ場、アラメ場、ガラモ場の4つのタイプの藻場が良く発達しており、絶滅危惧種を含むアマモ、スゲアマモ、タチアマモ、スガモの4種が生育する日本有数の重要な藻場です。海草と海藻類以外にも500種以上の海洋生物の餌場や生息地となり、海洋生物の多様性を支え、藻場を餌場とする希少種コクガンに関しては、個体群の1%以上が飛来し、越冬地になっていることが評価されました。

いずれの湿地も長年の周辺住民の保全活動の努力が報われた形ですが、特に志津川湾の藻場は、3.11の津波で湾奥部の多くのエリアの砂地底質に礫が混じり、アマモ場が消失するなど甚大な被害を受けた干潟です。復元と再生に官民が一丸となって尽力し、登録基準をクリアできる自然を生き返らせました。条約登録は地域の悲願であり、南三陸町では大きなニュースとなっています。

ラムサール条約3本の柱 葛西臨海公園 志津川湾

ところで、ラムサール条約は湿地の保全だけでなく、地域の人々の生業や生活とバランスのとれた「賢明な利用」とこれらを促進する「交流、能力養成、教育、参加」も目的としています。まさに、持続可能な開発目標SDGsの趣旨そのものの条約ですね。
国内52ヶ所の登録湿地は日本全国に位置しています。もちろん、水鳥の生息地としての自然が豊かな場所ですが、そこへ行って地域住民と交流し、その文化と交わることも条約推進への一歩となりますので、是非近くの湿地へ足を運んでみてください。


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