環境ビジネス資格図鑑技術士・技術士補

ハイレベルエンジニアであることを
証明する難関資格
地域、海外ODA等で活躍する人材としても期待

仕事の内容

エンジニアの高いレベルを証明する資格が技術士である。ただし特定業務のライセンスではない。多くの国家資格は、建築物を設計する建築士、医療を行う医師のように特定業務の独占資格だが、技術士はそうではない。技術士のカバーする技術分野はほぼ技術の全領域に及んでおり、21部門ある。

技術士資格がもっとも重用されるのは土木建設業界。国土交通省や地方自治体が建設関連業者の受注資格要件としているためだ。そのため技術士の資格取得者は土木分野の会社に所属しているケースがきわめて多い。

働き方

8割以上の技術士は企業に勤めており、1割弱が官公庁に勤務している。また1割弱は技術コンサルタントとして独立して働いている。企業が国交省や自治体の事業を受注する際は、技術士資格保持者の在籍が必須であり、受注後は担当技術士としてプロジェクトの責任ある部門を任されるなど企業からの信頼も大きい。また、国際レベルでのエンジニアの資格であり、地域、海外ODA等で活躍する人材としても期待されている。

ふさわしい人

技術士にふさわしいのは強い向上心を持つ人だ。というのは技術士資格の取得はきわめて難しく、時間がかかるからだ。試験は1次試験(技術士補試験)と2次試験(技術士試験)に分かれるが、2次試験を受験するためには、技術士補として、指導技術士の下で4年を超える実務経験か、その他の優れた指導者の監督の下で4年を超える実務経験、又は、指導者の有無・要件を問わず、独自での科学技術に関する実務経験で7年を超える期間必要だ。司法試験などの受験には、このような実務経験は必要ない。

合格率は低くわずか15%であり、合格者の平均年齢は41.8歳と高く、合格への関門は相当高いと言えよう。

収入と将来

技術士は科学技術の全領域を網羅しているが、実際の技術士の有資格者数の45%が建設部門の技術士である。続いて上下水道部門、機械部門が多い。

土木建設業界では、技術士が案件受注の資格要件となっているため、資格取得に際しての受験補助金や、合格後には一時金または資格手当を支給する企業もあり、収入アップも見込まれる。また、資格保持者は、将来独立してコンサルタント事務所を起業することもでき、定年制のない生涯現役の働き方も可能だ。

資格の取り方

技術士になるには、まず技術士補となる資格を取得する。技術士補となる資格が技術士への第一歩になるわけだが、その技術士補となる資格を得るためには第1次試験に合格するか、日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定コースを修了する必要がある。

次に第2次試験の受験資格を得るために、技術士補となる資格を取得後、以下のいずれかの実務経験(科学技術に関する実務経験)が必要になる。

  1. 技術士補として、指導技術士の下で、4年を超える実務経験。
  2. 職務上の優れた指導者の監督の下で、4年を超える実務経験。
  3. 指導者の有無・要件を問わず、独自で7年を超える実務経験。(技術士補となる資格を取得する以前の経験も含む。)

上記の実務経験を積んだ後、第2次試験(論文筆記試験および面接試験)に合格して、登録手続きを行うことで、初めて技術士として資格取得となる。
詳細は、公益社団法人日本技術士会「技術士資格取得までの仕組み」へ。