MENU

特集コラム
~サステイナビリティとキャリア~

隣の芝生は青い!?
~新型コロナ対応と地球温暖化対策~

制度・法律 国内・国際 注目・話題

新型コロナウイルスの影響で、今、このような状況になろうとは誰が想像していたでしょう。
連日の報道で、新型コロナへの対応が国によってこんなにも違うということに気付かされました。中国を始め多くの国が行った「外出禁止令」は日本人の私にとって強烈な印象でした。また、隣国の韓国ではPCR検査をバンバンやって、羨ましくも思えました。その反面、日本は他国の「都市封鎖」のようなことはできず、「要請」して国民の協力頼みにかかっているということも知りました。

グローバル化により、自分が海外に住んでいる、または出張や旅行などで海外の都市に滞在している可能性があります。そのとき、自分が海外にいたらと想像すると、これほど他国の対応を真剣に考えたことはありませんでした。

それでは他のことでこのように各国の状況を知ろうとしたことはあるでしょうか?例えばスイッチを付けると疑いもなく点灯し、コンセントをさすと電気製品が使える電気が何から作られていて、それが日本と各国に違いがあることはご存知でしたか?

以下の図1「主要国の電源別発電電力量の構成比(2017年)」をご覧ください。日本は、2017年は石炭と天然ガスによる火力発電からそれぞれ30%以上電気が作られていました。お隣の韓国は石炭火力発電が約45%、原子力発電が約25%で、中国は石炭火力発電から65%作られています。ヨーロッパは、フランスの原子力発電が70%以上あり、イギリスとドイツは再生可能エネルギーが約30%占めています。日常生活に必要な電気は誰もが想像する同じものなのに、それが何から作られているのか国によってかなり違うのです。

参考に東日本大震災の前の年、2010年の日本における電源構成も掲載しました。原子力発電は7.4%から3.1%に減らさざるを得なかった理由は明確だと思います。

図1 主要国の電源別発電電力量の構成比(2017年)

出所)2010年値:資源エネルギー庁「エネルギー白書2013」(※1)、2017年値:一般財団法人日本原子力文化財団 原子力・エネルギー図面集(※2) より筆者作成

ここからが本題です。この同じグラフを火力発電、原子力、再生可能エネルギーに分けました(図2参照)。まずフランスが原子力に依存していることにあらためて驚きます。イタリアは原子力が0%です。ヨーロッパの4か国は非化石率(原子力+再生可能エネルギー)が高く、アジアの中国、韓国、日本はまだまだ火力発電が多いです。

そして、各国の将来における中期目標はというと、イギリスは石炭起源による火力電力を2025年までに廃止、ドイツは2022年までに原子力発電を、2038年までに石炭火力発電を廃止するエネルギー政策を打ち出しています(※3)。火力発電を廃止し、再生可能エネルギーを増やしているのは、地球温暖化対策によるもので、ヨーロッパの国々は徹底して行おうとしています。他の国のエネルギー政策は日本に影響がないと思われるかもしれませんが、大気はつながっているのです。新型コロナのように国境を封鎖すれば、海と空から入ることはない、というわけにはいきません。

図2 主要国の電源(火力・原子力・再エネ)別発電電力量の構成比(2017年)

電気が何から作られているのかは日常生活に関係があると感じる人は少ないかもしれませんが、地球温暖化の影響は感じていると思います。私は岩手出身ですが、小学生の頃は毎年雪が校庭を白くし、雪合戦をしたものです。ところが最近は冬に帰省しても雪を見ることはありません。以前は熱帯夜は数えるほどでしたが、近年では連日続き、最高気温は30℃をざらに超える日が日常になってきています。

ロサンゼルスの親戚の家が3月から空き家になってしまいました。毎日、芝生に放水するスプリンクラーだけが稼働しています。町の景観のために芝生を奇麗にしておく必要があるのです。ところがこの新型コロナで外出禁止となり、頼んでいた芝刈りの人が来られなくなりました。芝は青々と成長しているようですが、ボウボウでは手入れがされていないと市から指導が入ってしまいます。さて困ったと思っていたら、隣人が見かねて芝を刈ってくれました。ありがたいことです。隣の芝生は青くても伸び放題では気になったのでしょう。

ポストコロナは以前と同じように海外へ出て行くことになるのかまだ分かりませんが、これを機会に各国への関心を持ってみるのもいいのではないでしょうか。

記事掲載日:2020年6月16日

著者プロフィール:
亀本 裕子
(かめもと ゆうこ)

岩手県立一関第一高等学校 理数科 卒。法政大学 工学部 建築学科 卒。
設計事務所に勤めた後、結婚を機に夫の赴任先であるアメリカに滞在、帰国後、シンクタンクで働いている。
国土基盤、エネルギー、環境の分野は建築とはそう遠からず。
一児の母であり、建築家の妻でもある。