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特集コラム
~サステイナビリティとキャリア~

コロナ禍で考える
人間関係構築のヒント

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今年始まったコロナ禍は、人々の健康や経済に止まらず、感染防止のための外出自粛や在宅勤務で、人間関係のあり方そのものにも大きな打撃をもたらしました。
また今年は気候も、6月は高温、7月は長雨、8月は猛暑と、友だちと会う気にもなりませんでした。直接会ってもマスク着用で話は弾まず、会話のできない飲食は味気なく、オンライン飲み会には飽き、いつしか人と会う機会はめっきり減って、ふと我に帰ったら、大勢の中に居たつもりが、独りきりでいる自分に気付いた、そんな経験をされた方もいたのではないでしょうか。

折しも今日の通信技術は人の目には見えない速さで進化し、通信技術に後押しされて交通技術は人々の生活を根本から変えつつある。50年前は固定電話のある家庭ばかりじゃなかったし、30年前は留守番電話でさえ珍しかったのに。
人と人との間に生きるから人間だと言われた時代は過ぎて、人が人に会わない時代を、人はどうやって生きてゆけばいいのでしょうか。

私が子どもの頃の話になりますが、私の祖母は「血のつながりが第一だよ。若いうちに子を産んで育てておきなさいよ」と、よく言っていました。
学生の頃は、大学の学長は「私の叔母は生涯独身でしたが、若い学生に囲まれて、いつも楽しそうでした。」と話されていたのを思い出し、時代と価値観の移り変わりを感じます。
留学していた頃、私のホームステイ先の家族は豊かとは言えませんでしたが、彼らのお婆さんは、近隣に一軒家を構え、独り悠々と暮らしていました。それを現地の教官は「アメリカ人は自由を尊ぶのだ」と言っていました。これも今改めて聞いてみたら、全く違う答えが返ってくるのかもしれません。

そんな私が人間関係を語るとすれば、3つのキーワードが挙げられます。1つは「学会」です。学会とは大学の先生や博士課程の学生のためばかりのものではありません。例えば貴方がプラモデルを組み立てるのが好きだとしましょう。今の貴方はプラモデルを組み立てるのが楽しくて、組み立てたプラモデルを眺めて喜んでいるだけですが、学会の人たちがやっているのは、組み立てる過程で発見した、それまで誰も気付かなかった新たな面白さの発表会です。学会とは自分の興奮を人に納得させ、共有することに心血を注ぐ人たちの集団です。打ち込めることがある人にとっては、心躍る人間関係を築くのにこれ以上相応しい場所はなかなかないのではないでしょうか。

2つ目は「校友会」です。卒業したのが単科大学か総合大学かにも依りますが、一時期でも同じ分野に関心を寄せた同志なら、時が過ぎても共通の話題で盛り上がることも多いでしょう。同じ関心を持ちながら、異業種、異業界で活躍している人がいれば、自分に欠けていた視野を補ってくれることもあります。
自分のやりたかったことと進学先の分野が違っていたことに後で気付いたなら、なおのこと、同じ学校の仲間とつながってみてはいかがでしょうか。違う分野に目覚めて新たな方向に進み始めた先達がいたら、学校で習った知識や技術が本業に思わぬヒントになって、それまで誰も気づかなかった視点を発見した経験を話してくれるでしょう。
かつて私が海外で暮らしていた頃は、商社やメーカー、銀行、新聞社、車のディーラー、通訳など、多様な業種の人たちにどれだけ助けられたかわかりません。同窓会はビール片手に校歌を歌うだけの場所ではありません。

3つ目は業界の研究会です。金や名誉が目的ではなく、好きだから働いている人たちは、一つの分野に突拍子もない深堀りをしています。そんな人たちを通して、その面白さに目が覚めます。なんでそんな細かい所に、いつまでも頭を突っ込んで馬鹿じゃないのかと呆れたりするうち、彼らの目にしか見えなかった何かが、ある日突然自分にも見えることがあって、ブルっと身震いするでしょう。

私は今、国際開発研究者協会 (Society of Researchers for International Development)(※1)に幹事として所属しています。毎月のようにイベントがあり、同じ業界にも多種多様な視点、課題、展望があり、興味の尽きることがありません。
自分には、それ程、傾倒できるような関心事は何もないと思っていたとしても、運営事務局をやってみたりすると、会員の関心事を探ったり、発表・発言をする学者・研究者を探したり、資料作成、金銭管理といろいろな作業をするなかで世界が広がっていくことがあります。
若い頃、私は秘書クラブ (The Secretarys Club) にも属していました。この会は時流の変化に伴い既に解散しましたが、日本の高度成長を担ってきた先輩や、ガラスの天井に行く手を阻まれ悩む同輩たちと共に、国内外を旅行し、共著で本を出版し、多くの出会いを経験したことは私の目を大きく見開かせてくれました。

ふと気付いたら独りぼっちだったと思うことと、独りでいるけど同志がいることとではずいぶん違います。選び選ばれ、同志とつながって、面白おかしく生きていくヒントになれば幸いです。

記事掲載日:2020年10月6日

著者プロフィール:
小久保 和代
(こくぼ かずよ)

女子栄養大学中退後、米国ボストン市キャサリン・ギブス校卒、早稲田大学社会科学部卒、法政大学人文科学研究科修士課程修了。
法律特許事務所、国際機関東京事務所勤務を経て開発途上国の政府開発援助に携わる。社会福祉士、キャリアコンサルタント。