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環境ビジネス情報

私の転職ストーリー

  高卒から海外留学!環境コンサルタントへの道

栗本 航さん

今回は、海外大学にて環境分野を学び、帰国後にグレイス(エコリク運営会社)の派遣スタッフとして環境省で活躍された栗本航さんに、環境省在職中にお話を伺いました。

Q.環境省で2年就業いただいていますが、これまでのバックグラウンドについてお聞かせください。

栗本 航さん 高校を卒業した後、当時は大学進学の意識がなくて最初は新聞配達などパートタイムの仕事をしていました。その後1年半ほど正社員として仕事をしている途中で、大学卒業という肩書きにも意味があるのだなと思い大学に行きたくなりました。

その正社員の仕事は技術職だったのですが、知らないことを勉強していくということは大変ですがやりがいもありました。しかし1年くらい経つと一通りのことは一人前に出来るようになり、自分の将来を漠然と考えた時に、このまま同じ会社にいて似たような仕事を続けていくのもちょっとつまらないと思うようになり、大学進学を考えました。

Q.その時に海外に視点を向けたというのはなぜですか?

一番大きいのは、身近な存在の姉が高校卒業後にカリフォルニアに留学していて、大学生活のことなど聞いていたので、そういうオプションが元々頭の中にあったのだと思います。私の視点から見ている限りでは、姉はとりたてて英語が得意だったというわけでもなく、こう言ってはなんですが普通の姉でした。そんな姉でも留学することで少しずつですが、変わってきたと感じました。元々姉は大人しいイメージで趣味も読書というようなタイプだったのですが、私が遊びに行った時に急に大人になったような気がして、どこか連れて行ってくれたときも行動力があると感じました。その変化がいい変化だと思ったので、人ってこんなふうに変われるんだ、どうしてこんな風に変われたのだろうと正直思いました。

大学に行こうと思った時に、自分の人生の選択肢に不満を感じていて、それを変えたいという気持ちが強かったので、そういう意味で姉が留学を機に大きな変化を遂げているということが強く働きかけてきたと思います。タイミングとしては2歳年下の妹も留学していて、姉妹が二人も外国に行っていると特別なことという感じはしなくなっていましたね。海外に行くということにあまり躊躇がなかったと思います。

Q.英語の勉強はどのようにされましたか?

高校レベルの英語力しかなく、そこから4年ほどブランクもあって自信がなかったので、海外へ行こうと思ってから半年ほど日本にある留学生向けの学校でひたすら英語を勉強しました。大学入学に必要なTOEFLのスコアがあったので、そこをクリアしなければ大学での勉強を始めることもできないと思い頑張りました。渡米直後に州立大学付属の語学学校で留学生向けのコースを受講した後、カレッジに入学しました。

行き先の大学にもよると思いますが、留学生の受け入れに慣れているところはサポート体制がしっかりしていてそれに助けられたと思います。

Q.大学で学びたいことは、最初から決まっていたのですか?

私の場合は最初からこういう勉強をしたいという目的はありました。日本にいた頃から環境問題に興味があり、せっかく大学で勉強するなら自分が興味のある分野の勉強をしたいと思い、候補になりそうな学部の中から最終的に環境科学が私の興味に近いと思って選びました。専攻に関しては、科学分野のいわゆる理系の科目を広く浅く、物理、化学から地学や数学などもやりました。理系の科目以外にも環境に関連する分野は幅広く履修する学科でした。結果として、4年分の課程を終えるのに6年近くかかってしまいました。

Q.どのような研究をされたのですか?

卒業に向けた調査研究のプロジェクトでは、サンディエゴ周辺の都市部を流れる河川の水質・水量変化の測定と解析を行いました。現地でのサンプリングやセンサーを用いたデータ取りを行った経験は面白く、仕事としてこうした環境分野に関わりたいという想いが強くなりました。

Q.学生生活で、印象に残っていることはありますか?

一番印象に残っているのは、理系以外のほとんどのクラスで必須だった、テーマに沿ったレポートをまとめるという課題です。アメリカ自体が国として日本より自由度が高いイメージがありますよね。実際に生活する中でも、他人に迷惑をかけなければすべてのことが許されるといった感覚があるので、自己責任の中で自由にできるという印象を持っていました。ですが、レポートをまとめるという課題を与えられると、想像以上にルールが多かったというか、すごくきっちりしている印象を受けました。

今考えると、論文を書く上での形式的なルールが実際的に学べる形で課題に織り込まれていたのだという気はします。ひとつひとつきっちり、採点されるときは本当に厳しく評価されたので、すごく印象に残っていますね。

Q.6年間きっちり勉強されて、引き続き現地でという気持ちはなかったんですか?

大学院に進もうかという気持ちもありました。留学生という立場を考えて、闇雲にアプリケーションを送って結果を待つよりも、興味のある研究をしている研究室の教授とのコネクションを作ってから、アプリケーションを送るという方法をアドバイスされたので、大学のホームページなどで見つけた教授にメールを送りましたが、なかなかうまい具合にはいきませんでした。カリフォルニアでの暮らしは大変気に入っていましたが、米国で生活することと、大学で勉強したことを活かすキャリアを築くことでは、後者の優先順位が高かったので、ひとまず日本で環境分野の仕事を探すことにしました。

Q.それで日本に帰ったのが2014年の1月、その後登録面談にお越しいただきました。当初就職についてどんなことを考えて動かれていましたか?

栗本 航さん 大学で得た知識を仕事でどう活かせるかというイメージが湧いていなかったので、その時はとにかく何か環境に関わるような、文献調査でも分析でもサンプリングでもという感じで探していましたね。結構漠然としていたので、その分ちょっと苦労したのではないかという気がしますが、この分野の職務経験も全くなかったので、当然といえば当然ですね。

Q.まずは経験を積んでみましょうという形で、環境省でご就業いただきましたが、どのような仕事でしたか?

1年目は、環境分野での水や河川、湖沼に特化していた分、扱う業務で触れる情報も専門性の高いものが多かったです。報告書などを読むにしても化学的な知識が求められました。仕事自体は、主に事務作業的なものが多かったですね。委託している業務の打ち合わせや検討会などを開く際は、大学の先生を呼んだりするので、その時の資料は専門的な内容がまとめられているものもありました。

2年目は、理系分野の専門的な内容はあまりないですが、環境分野の世界的な動きを知る機会はすごく多いですね。英語を使う機会は、少なくとも以前の部署にいた時よりは格段に多くなっています。

Q.ご自身にとって環境省で働くことのメリット、いい部分はありましたか?

環境分野の仕事にどういうものがあるかという見方が広がりました。帰国直後はすごく漠然としていましたが、環境省も環境に関係する仕事をしていて、そこから、いわゆる環境コンサルタントのような会社に委託される仕事があるといった、環境の仕事についてイメージがすごく掴みやすくなったと思います。

Q.今後はどのように考えていますか?

そうですね。今後やはり環境省で経験した二つのことが合わさるような形で活かせるのであれば、それに越したことはないと思います。私の今の思いとしては、環境分野の中で特にジャンルにこだわるつもりはないですね。元々水分野に興味はありましたが、今の部署の仕事を見ていると、それ以外でも環境を良くするために活かせる分野というか、努力できる分野があって・・・それだけではないと思いましたし、世界中の動きとしていろいろなことが同時に起こっているのだと実感したので。そういう意味で、何かジャンルに拘るという気持ちは薄れています。

Q.海外留学帰りの方の登録も実は最近増えていて、就職について不安に思っている方が非常に多いです。今留学している方や留学しようとしている方、帰ってきて仕事をどうしようと思っている方に向けて、メッセージやアドバイスをお願いします。

一言で言えば、絶対に何事も諦めて欲しくないですね。仕事を探すのもそうですし、留学もしたいのであればして欲しいです。仮に最終的に手に入らなかったとしても、やりたいことや目指したいことを追い続けた過程はそんなに後悔はしないと思うんです。あの時やれば良かったという後悔はあっても、あの時チャレンジしなければ良かったという後悔は絶対にないと思うんですよ。なので、自分自身にも言い聞かせているんです。諦めるな、諦めたくない、と。少なくとも私はまだ諦めてはいないので、それなりに今のところ満足していられるのだと思います。

貴重なお話をありがとうございました。