MENU

環境ビジネス情報

特集コラム ~サステナビリティとキャリア~

2020年、世界からのお客様に
胸を張って東京をお見せするために

東京都 都市整備局 市街地整備部 指導担当課長
一般社団法人土木技術者女性の会 事務局長
松本 香澄 課長

インタビュー キャリア 資格・勉強

全国の会員数が250人を超える「土木技術者女性の会」の事務局長として女性のキャリア支援をされていらっしゃいますが、会での活動についてご紹介いただけますか。

ロールモデル集の冊子等で女性技術者を支援 ご縁があって、土木技術者女性の会の事務局の仕事に関わらさせていただいています。
「Civil engineerへの扉」という冊子を出していますが、要は先輩がどうやって今の状態になったのかを知りたいという場合に活用していただきたいロールモデル集です。自分の会社には先輩がいなくて、どうしたらいいのだろうって困っている女性土木技術者はいまだ多いんですよね。なので、土木界の中でもゼネコンやコンサル等様々な分野の方にお願いをして、私は若い頃はこうだったけど、こんなことがあったけど、今こんな感じでやっていますよということを載せています。その発展系が「継続は力なり 女性土木技術者のためのキャリアガイド」ですね。これはQ&Aで、こんな時にどうしました?みたいなことも掲載されています。土木学会での作成に当会も協力しました。
国交省も土木学会も、ダイバーシティの一部としての女性活用について、取り組みを発展させながら真剣に動いてくださっています。当会ではそのような動きを追い風にしつつ、土木で頑張っている女性技術者の皆さんが持っている能力を十分に発揮できるようにお役に立てる組織になりたいと思っています。
他人様から見てしっかりした組織だと言っていただけるように一般社団法人化もしました。

【左】土木技術女性の会パンフレット【上】継続は力なり

こちらは土木ですが、一般的に理系文系と分けると理系という分けで、昔に比べると働き方も随分変わってきていると思いますが。

女性のキャリア構築の転機は出産 個人の意見ですが、女性のキャリア構築では、突き詰めると本気で子供を産もうかなという時が大きな転機かもしれないと思っています。結婚は旦那様の理解があれば仕事を続けることは不可能ではないし、仕事を続けさせないなんて言わせないぞという女性が私の周りには結構多いです(笑)。フロアーを見ていただければわかるのですが、この部署には結構女性がいます。元々公務員になるような女性は、勤め続けたい気持ちから公務員を選ぶし、就職活動の時にそういうことを調べるという話もよく聞きます。

今、20代30代、結婚前とか結婚してこれから子育てとかを考えている女性に、会としてどのようなアドバイスをされていらっしゃるのですか。

先輩技術者のアドバイスと共に就活支援なども まず、学生さんに土木業界も悪くないよ、おもしろいよとお伝えするのが一つです。世間的にあまりよいイメージがないようですから。
土木工学科に入ってこの先どういう仕事に就こうかという学生さんには、例えばコンサルならこういう仕事でこういう生活、公務員ならこう、ゼネコンならこうと社会人の実情をご案内しています。
また、就職して1年目2年目のちょっとこんなはずじゃなかったという思いを持っている若い方々が、「先輩たちどうしたかな」と思う時に先ほどの冊子を使っていただいて、また会のメンバーが直接アドバイスする機会をつくったりしています。
昨今、会社に入ったからにはその組織に最後まで従属する、という時代ではありませんよね。子育て終わってから退職して海外に行ったり、若いうちに退職して子育てをしてやっぱり仕事をしたい方もいらっしゃり、会で知り合いになった方とご縁があって再就職できたりという話もありますので、そういうマッチングの仲介役になれるといいと思っています。グレイスも環境ビジネスにおいて同じような企業活動をされていますよね。

現場見学が一番の勉強 勉強会も年に数回、各支部で行われています。大きな土木構造物を目の前にして、どのような計画を立てて橋を作ったのか、どういう環境条件をクリアして設計を行ったのか、という話は生きた事例なので、土木業界の勉強会の一番はやはり現場見学会ですね。

まさに「継続は力なり」で、継続することがキャリアを作っていくために一番大切なことと思いますが。

一つの組織にいることの継続ではなく、向上心を持ち続ける継続や、自分にとってより良いもの、能力を発揮したいという思いを持ち続けることであってほしいですね。

最後に、今就職活動や転職活動をしている人に向けてのアドバイスをお願いします。

自分を安売りして欲しくないですね。
安売りして欲しくない、というのはそれなりの能力がある人にでなければと言えない世界だと思っています。安売りをしなくても済むだけの準備と、転職するならば今の会社で得られる知識を全部得てから転職してください、とお伝えしたいですね。そうでなければ、本当にもったいないと思っています。その志を持てる人をできる限り応援したいと思っています。

貴重なお話をいただきありがとうございました。 記事掲載日:2017.1.20

松本 香澄(まつもと かすみ)
昭和63(1988)年:
  東京工業大学工学部社会工学科卒業
同年:東京都庁に入庁
  (都市計画局防災計画部市街地開発課)
平成 6(1994)年:
  主任昇格 水道局に異動
平成11(1999)年:係長昇格
平成15(2003)年:課長補佐昇格
平成17(2005)年:
  課長昇格 武蔵村山市へ出向
平成20(2008)年:東京都に復職

その後、都市整備局市街地整備部 民間まちづくり担当課長等を歴任し現在に至る

主な社外活動
(一社)土木技術者女性の会 事務局長(平成27年6月~)
土木学会 H部門論文編集委員会、継続教育実施委員会に所属
土木技術者女性の会の冊子