実際に村上様が現場に入られているところに今回採用の方は一緒に行かれるということもありますか?
大いにあります。今の所プロジェクトが3つありまして、もちろんそのプロジェクトを一緒にやっていく、最終的には任せていきたい。同時に新しいプロジェクトを作っていってほしいということもあるので、もちろん今まで築いてきたネットワークもあるので、そういうところを共有しながら戦略立ててプロジェクトを作っていけたらと思います。
今取り組んでいる漁業改善プロジェクトはどんな場所、魚種ですか?
今東京湾でスズキを漁獲している漁師さんが主なクライアントになります。あとは宮城県の女川という震災でかなりの被害を受けた地域の養殖事業者さんで、銀鮭というサケを養殖している会社があり、そこはフィッシャーマンジャパンの一員となっています。フィッシャーマンジャパンは東北で震災があって復興を一つの視野に入れた若手漁師軍団の集まりですけど、「地域を盛り上げようよ漁業で」というところで、そのメンバーの一人と今プロジェクトを進めております。
あとは、和歌山県那智勝浦町、マグロの生鮮売上で日本一の場所なんですが、そこのマグロ問屋の方と大分県船籍の延縄漁業の方と延縄ビンチョウマグロの改善プロジェクトをやっています。
こういうところは、僕たちも活動していて持続可能だけを掲げて現場に行って、そんな崇高な長期的なメリットだけを言われても、理想じゃ飯は食えない現実はもちろんあるので、そういうところと出口、市場をつなげてあげる役割も担っていますね。
僕の個人的思いもあるんですけど、長期的なメリットと短期的なメリットが合ってみんなが行動を起こせるというところがあるので、短期的だと合同会社西友などはこういうプロジェクトを積極的に使ってもらったり、プロジェクトの資金を捻出してもらっているなど、そういういろんなステークホルダーを巻き込んだプロジェクトですね。
そうすると漁業関係者だけでなく、販売店や、飲食店も関わってきますね。
僕が関係者として話をする相手は、行政や水産庁、都道府県の水産課レベルの方から一生産現場の漁師さんまで幅広く話します。いろんな関係者とこの人にはこういう話し方とか色々あるじゃないですか。科学的な話を漁師さんにしてもというのがあるし、逆もありますし。そういう、うまいバランスを保てた人がいいかと思います。
水産業界に精通している人というのはやっぱり重要かとは思います。あとは環境を護りたいとか魚を護りたい。そういうところに経験とか思いのある人はいいですね。
極端なことを言えば僕も水産に特化していたわけではなく、どちらかというと環境保全のマインドの方が強くて、それを変えたいビジネスがあって、釣りを通じて自分の好きな魚というフィールドがあったという感じなので、必ずしもずっと水産業界にいなければならないわけではないと思いますし、だからこそ想いとか興味とからくるハードスキルのところもありうるのかと思いますね。
改善に着手できる、市場を変えましたっていうのはサステナブル・シーフードの重要な歯車なんですけれど、漁業現場がどう変わっていくのかってところに特化していると見えないじゃないですか。だけど、この担当の業務というのは現場に入って、改善に着手して、本当に漁業が変わっていくのが目に見えるという、環境が良くなっていくとか現場が良くなっていくというところに常に寄り添えるというのは、他にない仕事だと思います。
女性の方も活躍しやすいということですが、今女性のメンバーの方はどのような仕事をされているのでしょうか?
9人のうち3人が女性です。一人は管理系の部門を、もう一人は広報を担当しています。3人目は組織運営に関わっていますね。弊社では4つの部署が動いていますけど、各部署に必要なものが足りているかとかプロジェクトが止まっているときはそのサポートをしています。海洋生態学の知識とマネージメントスキルを活かしクラウドベースでアメリカから業務にあたっているんです。もちろん今度採用する人も最初からクラウドというわけにはいかないけれど、条件とか色々あると思うのですけど、ここにきていただいて、そこから色々いけるだろうなと思っていますけど。必須ではないかもしれませんね。
最後に持続可能な社会を実現するためにどんな方が求められると思われますか?
僕が信じているのはハードよりもソフトと一言で言いがちなんですけど、多種多様な人たちの考えを汲みながら解決策まで紐付ける力を持っている人、柔軟な解決策を基に色々な問題を解決していくというのが、社会人というか社会なのかと思うんです。その矛先というのは今回の環境になってくるので、多様なステークホルダーを取りまとめられるような、リーダーシップだったり、ファシリテーションの力であったり、コミュニケーションの力が、人と人とを繋げる、そして何か一つのものを作っていくのに重要なんじゃないかと思います。
リーダーシップも国際基準のリーダーシップ、基準とかあるわけじゃないと思うんですけど、国際的に認知されるリーダーシップは日本と若干違うところもあると思うので、どちらがいい悪いではないと思いますが、世界の目が日本に向けられてきている今の状況で、世界で活躍できる人材が必要になってくるんじゃないかと思います。リーダーシップの側面でも、国内だけじゃなくてどんどん海外に自信を持って出ていけるようなタフさとかリーダーシップ力を持っている人というのが重要なんじゃないかと思います。
ハードな部分はどんどん技術が作られていって解決できるシステムが出てくると思うんですけど、人を動かす力や人をまとめる力は機械じゃできないことなので、多様な世界になればなるほど必要なんじゃないかと思います。
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村上 春二(むらかみ しゅんじ)
- 株式会社シーフードレガシー
- COO 取締役副社長
- 国際環境非営利機関 Wild Salmon Centerそしてオーシャン・アウトカムズ(O2)の設立メンバーとして日本支部長に従事した後、株式会社シーフードレガシー取締役副社長/COOとして就任。漁業者や流通企業と協力し、日本では初となる漁業・養殖漁業改善プロジェクト(FIP/AIP)を立ち上げるなど、漁業現場や水産業界そして国内外のNGOに精通しIUU対策などを含む幅広い分野で日本漁業の持続性向上に対して活動している。多くの国内外におけるシンポジウムや水産関連会議やフォーラムでの登壇や司会などを務め、米国企業Scaling Blueの運営委員などを筆頭に国内外で活動している。