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環境ビジネス情報

特集コラム ~サステナビリティとキャリア~

環境ビジネスの未来とその課題

環境省 総合環境政策局環境計画課
 中村 隆之 課長補佐(写真右)
 倉橋 征示 環境専門調査員(写真左)
 佐々木 梓乃 環境専門調査員(写真中)

インタビュー 国内・国際 制度・法律

【左】倉橋環境専門調査員【中】中村課長補佐【右】佐々木環境専門調査員 【左】倉橋環境専門調査員【中】中村課長補佐【右】佐々木環境専門調査員

これから環境業界で働こうとされている方々へのメッセージをお願いします。

倉橋:環境省の職員として、自然を愛する学生は自然環境局のレンジャー職はどうですか?採用数は少ないと思いますが、自然保護官が必要になりますので、国立公園で働く職員として募集しています。

中村: 環境というとかなり漠然としたイメージで捉えている方が多いと思います。私も学生時代に広い意味では環境系の学問を専攻していました。仕事で環境をやりたいと思った時に、それが自分の思い描く環境とは何かを、自分の中でよく自問自答して、クリアにすることが重要だと思います。環境とは言っているけれど、自分はフィールドに出て環境測定をやりたいとか、地球環境保全に貢献する技術開発をやりたいとか、仕組みを作る環境行政をやりたいとか、環境で活躍できるフィールドはそのとらえ方によっても、かなり広がりがあるのではないのでしょうか。

倉橋: 環境だけでは広すぎるので、言われた方も「環境の仕事がやりたいです」と言われて、「何がしたいの」と聞いたときに、そこで何が出てくるのかですね。特に専門的な会社であれば、専門的なことに携われると思いますが、通常の企業の場合だとなかなかそうもいかないと思います。環境に直接的に関係する部署もあるけど、他の部署も経験することは大切だと思いますね。

佐々木: 環境は分野的にも幅広く、明確な定義付けもなかなか難しいと感じています。その反面で、どんな会社であっても環境と結びつけるということが可能な時代になっているのかなとも思っています。環境に関係したフィールドで働く機会、もしくはそれをアイデアとして持ったりするチャンスというのは常にあるのではないでしょうか。

皆様は、環境というのをどういうふうに捉えて働いていらっしゃるのかをおひとりずつお聞かせいただけないでしょうか。

倉橋:日常の中にあるものだと思います。それに気づいているところもあれば、気づいていない環境にいいことって本当にいっぱいあると思うので、そういうことを広めていかなければいけないと感じています。「環境と社会によい暮らし」に関わる活動や取組を募集して紹介や表彰を行う「グッドライフアワード」という環境省の事業があるのですが、一人だけで取り組むのはもったいない、いいことは広めていかなければいけないと思います。

中村:私が個人的に思うのは、環境は全ての「基盤」ということです。基盤であるからこそ、普段意識しないのかなと思います。例えば、環境・経済・社会の統合的向上と先程申し上げましたが、そういうことを考えたときにも、環境が基盤になければ企業活動・経済活動もうまくいかないし、社会生活もままならないと思うので、人間だけじゃなくて動物とか植物も含めてでしょうけれど、そういったものが永続的に繁栄できるようなもののベースとして、環境があるということなのかなと思います。だから今ある環境を大切に、持続可能な形で次世代に残していくことが重要ではないかと感じます。

倉橋:昔は環境を無視した企業もあったでしょうけど、今はそれをやっていたら絶対に成り立たない。汚染物質をばらまいて大量に安くなんてやっていたら、間違いなく継続できないと思います。

佐々木:私は「環境ビジネスの振興方策検討」の取材で去年から何十社という企業を訪問していますが、ある企業の社長のお話が印象的でしたので紹介します。「もともと利益を追求してきたわけではなく、どんな世の中にしたいか、どんな世の中になればいいかということをイメージしたときに、こうなればいいなと思ったことを選択してきた結果が環境だった。」というお話を伺い、面白い表現だなと感じました。人それぞれどんな世の中にしたいかというイメージは違うかもしれないですけど、その先に「環境」があるというのはとても説得力のある表現で、私自身も影響を受けました。

確かにその言葉わかりますよね。

佐々木:あと、課題として感じるのは、「環境保全」とか「環境負荷軽減」ということをいかに個人レベルに落としていくのかということです。企業は義務付けられていることも含めて意識が向上していると思うのですが、国民一人一人が取り組んでいくこと、周知していくことというのが非常に重要かつ難しい部分でもあります。今では当たり前になっていますけど、ペットボトルの分別は個人の行動として染み付いているじゃないですか。実はそれってすごいことだと思っていて、そのような一つ一つの作業を手間とか面倒とか感じない、当然の行動として定着させていくことがとても大切だと思っています。

倉橋:やっぱり普及啓発活動というのは、最初は手間と思われても、手間が手間じゃなくて当たり前と思うことが自然に生活の中に取り入れられていくことが大切だと思います。

貴重なお話をいただきありがとうございました。 記事掲載日:2017.2.20
中村 隆之(なかむら たかゆき)
環境省 総合環境政策局 環境計画課 課長補佐
倉橋 征示(くらはし せいじ)
環境省 総合環境政策局 環境計画課 環境専門調査員
佐々木 梓乃(ささき しの)
環境省 総合環境政策局 環境計画課 環境専門調査員