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環境ビジネス情報

特集コラム ~サステナビリティとキャリア~

日本の土壌を化学・バイオの先進技術で変えていく

株式会社エンバイオ・ホールディングス 代表取締役
西村 実 様

インタビュー キャリア 技術・科学

始めの調査段階から実際の施工まで一貫したサービスを今も続けていらっしゃるんですね。

浄化工事の設計は自社で行い、実際の施工については当社の技術者が現場を管理するけれども、機械の運転や土工事などは協力会社に外注しています。現場の大きさによって異なりますが、当社の社員が一人か二人ついて、あとは協力会社の人たちに来てもらってやっている。監督は責任を持ってやるけれども、個々の作業は全部外注先にやってもらう。現場から採取した試料は、分析会社に送って分析してもらう。だからそういう意味ではゼネコンさんと同じやり方ですね。

今後、御社の中でどういった人物と一緒に仕事をしていきたいか、どういった人物を求めているかお聞かせください。

求める人材として、基本は技術屋さんですね。当社は技術のわかる人が営業もやります。技術的なバックグラウンドと自分の経験をベースにお客さんのところに行って、お客さんの問題を聞いて提案をするというスタイルなので、技術がわからない営業マンはすぐには使えない。

これまでのうちの社員はまず地質や地下水がわかる人、土木がわかる人、化学がわかる人、それから微生物がわかる人。そういう人を中心に採用してきました。今後は、新しい工法を取り入れていろいろなプラント・設備を導入する予定です。地下水浄化のプラントを我々が設計して、それを現場に入れ、そのプラントを動かしながら原位置浄化を行うというようになってきます。今、アメリカから新しい技術を導入していまして、その技術は熱処理、つまり熱で浄化するのですけど、かなり大掛かりな設備が必要となります。これからは設備のわかる人がいないと技術を高めることができないので、設備設計ができる人など化学工学や機械が専門の人たちも採用します。

実際のプロジェクトは、自分の強い分野が一つあって、それ以外のところはそれを得意とする人とチームを組んで実施します。例えば、土木に強い人は、地質のことは地質に強い人から教えてもらってやっていくうちに、仕事に必要な知識はだんだん身についてきます。ただし、自分が得意な分野については他人には負けない深い見識がないと、プロの技術者としてなかなか差別化できないという難しさはあります。

最後に環境ビジネスへの転職や就職を考えている方へのアドバイスをお願いします。

短期的な給料や報酬だけを求めるのなら、仕事が面白いとか面白くないとかは別として大手に転職すれば良いと思います。しかし大手の建設会社に入ってその分野で一番のプロフェッショナルになれますかって、考えるとなかなか難しいと思うのです。だけど、この土壌環境とか地下水環境という分野は今でも圧倒的にスペシャリストの数は少ないのです。だから本当に自分の持っている専門性とかを伸ばして、例えば「地下水の流れについてはあの人に聞け」とか、言われるくらいまでになって、ある種の尊敬を得ようとすると、新しいビジネスが多く専門家が少ない環境分野は挑戦しがいのある分野だと思います。この分野で名を上げて、社会の役に立って尊敬されるビジネスパーソンになることに魅力を感じる人は是非チャレンジして欲しいと思いますね。環境に貢献する仕事というのはみなさんに喜ばれる。社会のためになる仕事をして、さらにその分野で「これだったらあの人に聞こう」と言われる第一人者になれる可能性の高い分野に絞った方がいいと思います。お金のために転職するのではなく、自己実現とかを考え、どの分野に行けば自分の能力を活かしてトップまで行けるのかな、という風に考えて移るべきじゃないかな。そういう仕事に巡り会うと楽しいですよ。経験上、価値のある仕事をしていれば、お金は後から必ずついてくると思います。

貴重なお話をいただきありがとうございました。 記事掲載日:2017.7.20
西村 実(にしむら みのる)

博士(工学)

  • 1981年、大阪大学工学部卒業後、ライオン株式会社入社。
  • 1984年、理化学研究所派遣研究員。
  • 1990年、日本総合研究所に移籍。
  • 2001年7月、環境バイオテクノロジーの事業化を目指すエンバイオテック・ラボラトリーズ(現エンバイオ・ホールディングス)に参画。現在、同社代表取締役。
  • 2003年1月、アイ・エス・ソリューションを設立。現在、同社代表取締役。
  • 2010年3月、株式会社ビーエフマネジメント(現:株式会社エンバイオ・リアルエステート)取締役(現任)。
  • 2012年6月、中国南京市に合弁会社江蘇聖泰実田環境修復有限公司設立。現在、総経理。
  • 2016年2月、一般社団法人土地再生推進協会理事(現任)。