MENU

環境ビジネス情報

特集コラム ~サステイナビリティとキャリア~

企業の無形資産をアピールして
投資家と繋ぐ

株式会社 エッジ・インターナショナル
ESG情報開示/対話事業推進室・EDGE基礎研究所
ESGスペシャリスト 江森 郁実 様(左)
アシスタントディレクター 周藤 潤香 様(右)

インタビュー キャリア

具体的な仕事内容、事例をお聞かせください。

周藤 私たちの部署が行っていることは、主に企業に向けた非財務や無形資産の部分、つまりESGに関するアドバイスです。具体的に私たちは企業の社会貢献や環境への取り組みなどについて、コンサルティングのようなこともしますし、どういう風にレポートしたら投資家が魅力と思ってくれるかということを、事例を用いながら、「こういう風に書くともっとアピールできますよ」などとアドバイスを行っています。
国内、海外両方の企業のレポートを紹介しながら、クライアントに合うようなレポートの仕方はこういう感じですよと提案したり、相談を受けたりします。また、主に海外の企業によって企業のESG情報開示をランク付けする指標があるのですが、その点数を上げたい時にどういう風な取り組みを情報として開示すると良いのかなどのアドバイスをしています。

江森 ESGの指標は専門的で、調査する機関が主に海外にあります。そこが1社ずつ企業を見て、格付けをしています。今、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もその評価を用いて投資するようになっていて、企業も結構気にされているので、色々と相談が増えました。

私と周藤のいる部署は、いわゆる営業・編集部隊と切り離された別の部署です。この部署単独ですごくお金を稼いでいるわけではなく、制作物であるレポートやWebサイトがより良くなるためのサポートをしている部署です。
具体的には海外の事例を提供したり、海外の指標の分析をしたりしています。周藤は特にサステナビリティをイギリスで勉強していますので、語学力を活かしてもらっていると思います。

もう一つの大事な仕事は対外活動です。クライアントだけではなくて大規模に、広く統合報告やESGを啓発するセミナーを開催しています。また、最近は日経に「ESG投資」とか「GPIFがESG 投資を始めた」という記事が載るようになって、関心をもつ人が増えたと思います。ただそういうのを読むだけでは解らないので、実際に投資家と面会をして、投資家はどういう風にESG情報を使っているのか、どのようにレポートに書いたら読み取ってもらえるのか、企業の実情や悩みなどを議論しています。営業・編集部隊は投資家と会う時間はなかなかとれないので、対外的な活動というのは、私たちが別の部門でやっているという状況です。
レポート制作会社で、こういう専門のリサーチ部門を持っている会社は少ないと思います。対外的なPRをしてマーケット自体を活性化して、制作物全体の質を上げていくという部分に投資をしてもらっているという専門の部署です。そこが当社の特色でもありますし、強みの一つというところですね。

仕事、業務でのやりがいや大変なところを教えてください。

江森 やりがいは、「企業の姿勢が変わること」ですね。投資家はこういうことを言っていますと訴えはするけど、最初はなかなかわかってもらえない。CSR部門の担当者はわかっているけれど、上手く上司や他部門に説明できないこともあります。長くお付き合いしているお客様で、CSR部門は頑張りたいけどなかなか会社から理解が得られないというのが1~2年あった後に、その企業はB to Bだったのですが、お客様であるB to CメーカーからCSRをやりなさいという強い要望がきたことで、今までCSRは「コンプライアンス」だと思っていたものが急に「お客様との取引条件」にコロッと変わったことがありました。最終メーカーというのはNPO,NGOのプレッシャーが強いので、急に変わることがある。特に日本は技術の高いB to Bメーカーが多いので、そういう企業は急にやらなくてはいけなくなる…そういう時に、CSR部門の人が少ないながらもちゃんと予算を確保して、勉強していたおかげで、急に上から指示が来た時に準備ができている。もし何も準備してこなかったら、そのお客様を失ってしまったかもしれない。でも準備をしていたから対応ができて、その会社の経済的な意味での存続に貢献することができた。
CSRのサポートってすぐ成果が出ないんですよね。こういう世の中なので急に必要になるタイミングが出てくると思うんですけど、それが来たときにCSR部門の人から「外部と一緒に準備していたおかげで上手く乗り切れた」と言ってもらえる、そういった企業がサステナブルに経済活動を続けていけるお手伝いをできたと結果的に思える。そういうのが一番やりがいとしてはあるかなと思います。

周藤 私はありきたりですが、お客様が喜んでくれるとやりがいがあるなと感じます。例えば、こちらがクライアントにこういう風なレポートの開示の仕方、表現の仕方がありますよと事例を持っていった時に、事例を知って喜んでくれる姿を見ると、ちゃんと調べた甲斐があったなと思います。

大変なところというのは、クライアントそれぞれで求めるものも違いますし、特色とか業種も全然違うので、それぞれのお客様に合った事例とか問題解決方法を提案しなくてはいけないのに、それがなかなか見つからない時があることです。モヤモヤします。
また、私はまだ新人なので、各会社がどんな歴史的背景を持って今の立場にいるのかや、どんな会社と合併し、この事業を行うに至ったのはなぜかなど、詳しいところまでを把握しきれていません。企業の現在の取り組みは会社が出されているレポートを読めばわかりますが、企業の現在に影響を及ぼしている外部、内部環境は追えずにつまずくこともあるので、そこが結構大変ですし学んでいかないといけないなと思いますね。

江森 郁実(えもり いくみ)
  • 2008年から企業の法定開示、任意開示におけるESG情報開示全般のコンサルティングに従事。
  • 2014年より現職。日本サステナブル投資フォーラム(JSIF)運営委員、企業価値レポーティング・ラボ運営事務局を務める。
  • 共著「統合報告書による情報開示の新潮流」(同文舘出版)
周藤 潤香(しゅうとう ひろか)
  • 2015年、中央大学 総合政策学部プロフェッショナルコース卒。
  • 2016年、英国リーズ大学院 地球環境学部サステナビリティ学科修士課程修了。
  • 学生時代に学んだ持続可能な発展(社会)の概念を実現すべく、投資の流れで企業、社会を持続可能にしていく一部の役割を担える仕事内容に感銘をうけ、2016年入社を決意し現職に至る。
  • 企業のESG情報開示のためのリサーチを担当。