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環境ビジネス情報

特集コラム ~サステナビリティとキャリア~

拡大する環境ビジネスで
 我が国の中枢を担う仕事

一般財団法人 日本気象協会
事業本部 環境・エネルギー事業部
部長 小玉 亮 様

インタビュー キャリア
気象情報の提供及び、防災や環境などに係る事業で発展を続けている「一般財団法人日本気象協会」。
環境・エネルギー事業部の仕事内容や事例、やりがいなどをお話しいただきました。

これまでのご経歴をお聞かせください。

私は大学で海洋の事を勉強していましたので、海外の調査船で様々な海を回りました。日本気象協会に入社すれば、引き続き世界中の海を調査できると思いましたが、なぜか環境の部署に配属され、その夢は叶わずに環境ビジネスに携わりました。

1992年に首都圏支社に入社してから8年間、音波で風を測るドップラーソーダーという技術の実用化研究に携わりました。この実用化に成功して現在では社会の色々な場面で利用されています。その後海洋を調査する部署に異動しましたが2年ですぐに九州支社に転勤しました。九州では課長として主に環境アセスメント事業に従事し、その後は本社に転勤して全社の監査業務を実施しました。その後、北海道支社に転勤し総務課長を経験してから本社に戻り、営業部長代理として新規事業の企画に携わりました。この時に再生可能エネルギーの予測に関する事業を新規に立ち上げ、現在は環境・エネルギー事業部に在籍しています。

現在の事業内容をお聞かせください。

環境・エネルギー事業部の仕事は多岐に渡っています。環境分野では風力や火力の環境アセスメントですね。これらは国内のかなりの部分を私どもが手掛けています。その他、地熱、清掃工場、空港、鉄道等を建設する際のアセスメントも手がけています。また、火山ガスや大気汚染物質のPM2.5、花粉等がどのように拡散するか計算する拡散シミュレーション、地球温暖化の関連事業としてIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)の日本の事務局も私どもが務めています。

エネルギー分野では、太陽光・風力の発電出力予測、明日や明後日にどの程度発電するかを予測しています。また津波の監視や気温、降雨、竜巻、雷、波浪等の予測情報を提供しています。

具体的な仕事内容、事例をお聞かせください。

風力の環境アセスメントでは、騒音等が問題になりますので、これらを調査・予測し環境への影響を評価します。また、鳥類のどのような種がどの程度生息し、どういう飛び方をして、どこに営巣しているのかという調査の他に昆虫や動植物の調査も実施します。風力や火力発電所を建設した場合に自然環境にどの程度インパクトがあるかを現況調査に基づいて予測・評価しています。また、火力アセスメントでは、煙突からの排煙がどの程度、どちらの方に拡散していくかという拡散シミュレーションが重要になります。そのため上空の風を直接観測し、それを基にシミュレーション技術で予測・評価を実施します。

エネルギー分野では電力会社等に情報提供をしています。基本的に電気を貯めるにはコストが掛かるので、皆さんがお使いの電気をどのくらい使うか予測し、どのくらい電気を作るか時々刻々バランスを取って調整する必要があります。それを電力会社が日々調整している訳ですね。どの程度電気を使うか予測するのに最も重要なのが気温です。例えば夏に気温が高いとエアコンを使うので多くの電気を使います。気象から電気をどの程度使うか予測できるので、私どもが気象予測を提供することで、電力会社が電力をどの程度使うか予想しているのです。近年では電気を作る側にも太陽光や風力の電源が大量に導入されましたので、日射量や風によってどの程度電気を生み出すかが決まります。このような気象状況で変わる太陽光・風力の発電出力を私どもが予測しています。最近では気象の枠から飛び出して、皆さんが電気をどれくらい使うかや、市場で電気を売り買いする値段まで私どもが直接予測するサービスも開発し、事業を拡大しています。

小玉 亮(こだま りょう)
  • 1992年、日本気象協会入社、首都圏支社 環境調査課
  • 2000年、首都圏支社 海洋調査課
  • 2002年、九州支社 調査課長
  • 2005年、本社 監査主幹
  • 2006年、北海道支社 総務課長
  • 2008年、首都圏支社 営業部長代理
  • 2010年、本社 営業部長代理
  • 2012年、本社 環境・エネルギー事業部 副部長
  • 2017年、本社 環境・エネルギー事業部 部長