企画調査部研究員の菊池様に組織概要や緑化ビジネスなどについてお話しいただきました。
都市緑化機構の組織概要と緑化ビジネスについてお聞かせください。
都市緑化機構という団体は公益財団法人です。一般の皆様に公益の立場から緑について情報発信しております。
具体的には
1.緑の普及啓発活動
2.緑のまちづくり支援
3.緑の評価
4.情報発信
5.調査研究・技術開発
という5つの分野について業務を行なっています。
1.「緑の普及啓発」は、今年は山口県、来年は長野県で開催されますが、毎年、全国のいずれかの都市で、「全国都市緑化フェア」を主催しています。地域の緑を盛り上げるのに併せて、人の生活に関わっている公園などの都市の緑を皆様に広く知っていただこうということが主な活動です。昨年は、神奈川県横浜と東京都八王子市で開催しました。
2.「緑のまちづくり支援」というのは、みどり豊かなまちづくりを応援する3つの表彰制度「都市の緑三表彰」があります。緑化活動は、計画・実績・技術から成り立っていますので、それぞれの優れた取り組みを表彰します。
具体的には①緑の事業の実績(緑の都市賞)、②緑を創る計画(緑の環境プラン大賞)、③優れた緑化技術(屋上・壁面緑化技術コンクール)の3つの分野について表彰します。
①「緑の事業の実績」は、緑を増やし守る取組みの実績を表彰する制度で、この分野の表彰の中では唯一内閣総理大臣賞で、昨年は「緑のまちづくり部門」の鎌倉市が表彰されました。
②「緑を創る計画」については、緑化プランを対象とし、図面やスケッチ図を審査し、その実現のための助成を行います。
③「優れた緑化技術」は、屋上や壁面という特殊な空間で植物を長らえるための優れた技術や設計計画が対象です。緑は作っておしまいではなく、その後、きめ細やかな維持管理、厳しい環境下でも緑を維持し続けているかも含めて表彰します。
その次に3.「緑の評価」は、建築の分野でCASBEE(キャスビー)とかLEED(リード)とかありますが、それの緑版として、緑が社会や環境にどれくらい貢献しているかを評価するシステムで、Social and Environmental Green Evaluation Systemの頭文字をとってSEGES(シージェス:社会・環境貢献緑地評価システム)と呼んでいます。こちらは、民間企業の緑地を積極的に保全、維持、活用している優れた取り組みにについて、評価、認証をしています。また、認証したら終わりではなく、マネジメントの部分も当機構でフォローしております。
SEGES(シージェス)の中でも、「そだてる緑」は工場緑化、コンビナートの緑化、緑地、敷地を対象としています。
認定企業には、さまざまな業種、業態の民間企業があり、所有していた土地や工場敷地などで積極的に緑地を創出して、CSRやCSVの観点から第三者認証を受けられております。
「SEGES」は国際的な評価システムなのでしょうか?
まだ日本の中だけです。こちらの「そだてる緑」に認定されている企業は22社あります。2005年にスタートして、3年に一度更新審査を受けていただき、それによってステージが昇格していきます。実際に管理に携わっている方たちが、次のステージを目標とできますし、また、どうやって管理したらよいかわからないという方たちのフォローにもなっていると考えております。
よい取り組みをしている企業は、他の企業の模範になるということで、「緑の殿堂」として表彰しています。そして、その企業の見学会や、実際の意見を聞くなど企業同士の横のつながりも支援しています。
公益財団法人都市緑化機構
菊池 佐智子(きくち さちこ)
- 公益財団法人都市緑化機構
企画調査部研究員 - 2007年大学院修了 農学(博士)
- 国土交通省国土技術政策総合研究所、東北大学大学院、茨城大学、山梨県富士山科学研究所に勤務。
- 2016年より、現職。
- 専門は、環境緑化、緑化工学、緑地計画、水循環。