アーバンデザインですと、企業よりは自治体が多いですが、これは民間企業の施設が対象になっているんですね。
はい。これからの緑は民間企業の施設が重要になってくると思います。当初の計画では経営者の意向で緑を作るのですが、その後、経営者の方が変わると経営方針も変わり、緑がどんどん縮小される傾向にあります。また、実際に緑の管理に携わっている方は緑を知らない方が多く、会社から管理費のコスト削減など、どこに相談してよいのかわからず、困っているという声をたくさん聞きますので、私たちは緑のプロとして応援しています。
こういうものがあるとCSRの一つとして地域の住民の方などと接点がうまれますし、そういう面で活用できそうですね。
そうですね。SEGES「そだてる緑」のパンプレットは年間8,000部を発行しています。認定企業22社にお渡ししており、工場見学と緑地見学の際にご利用いただくことで、連携した広報にも繋げております。
また、計画段階から評価する「つくる緑」という認定制度もございます。
環境に配慮した質の高い緑地計画を評価して、認証を差し上げています。
別のパンプレット「都市のオアシス」は、今年の5月中旬にNo.8が発行され、こちらのパンプレットは年間8万部も発行し、参加企業47社から直接お客様に届くような形で配布しております。
中身を拝見させていただきましたが商業施設が多いんですね。
屋上を緑化することで、社員や広く一般の方にも利用してもらうための広報活動も当機構がとりまとめ、参加企業の協力でパンプレットを作成し配布を行っています。
「都市のオアシス」の評価項目には「安心・安全」や「環境への配慮」という項目があります。普通の街区公園などでは近年、事件や犯罪が多く「ちょっと怖いな」と思っている方もおり、「都市のオアシス」で認証された施設は防犯カメラや警備員の設置、植物についてもできる限り農薬を使わないなどの配慮がされていることで、安心して子供を遊ばせる場所としてお母さまたちから人気をいただいています。
このパンフレットは、デザインが繋がるようになっています。このデザイン性の面からも女性の方をターゲットにしているのですが、何冊か持っているとあれ?と絵が繋がることに気づけます。
表紙には季節感もあるんですね。
緑色のものは春・夏版ということで、5月に発行しました。オレンジ色と茶色のものは、秋・冬版ということで10月に発行しており、1年間に2冊出していますが合わせると四季がイメージできるような感じのデザインになっています。
この1.2.3は、私が主に携わっている業務で、あとは4.「情報発信」です。研究機関ですので、「都市緑化技術」という機関誌を年間3回発行しています。また、屋上・壁面緑化技術コンクールを取りまとめた緑に関するご案内の冊子を記念号という形で作って情報発信しています。
その他、基礎になる5.「調査研究・技術開発」もあります。こちらは、現在、私が担当しております、学校の校庭芝生化をどうやったら推進できるか、もちろん行政からもお金の補助がありますとか芝生の管理ができるプロの指導者を応援に出しますという話もありますが、実際に校庭を持っている学校側がやる気にならないといけないので、そういう方たちに対して「校庭を芝生にするとこういういいことがあるよ」ということを説明する研究会があり、そこの調査内容を取りまとめるということもしております。
東京都も行っていますね。
そうですね。東京都も行っています。関東では様々なところで行っており、関西でも大阪や神戸というところで、ダスト舗装より芝生の方が転んでも痛くないし、周辺の方たちからすると風の強い日に砂埃が立たないので芝生の校庭はいいという意見も多いです。
公益財団法人都市緑化機構
菊池 佐智子(きくち さちこ)
- 公益財団法人都市緑化機構
企画調査部研究員 - 2007年大学院修了 農学(博士)
- 国土交通省国土技術政策総合研究所、東北大学大学院、茨城大学、山梨県富士山科学研究所に勤務。
- 2016年より、現職。
- 専門は、環境緑化、緑化工学、緑地計画、水循環。