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環境ビジネス情報

特集コラム ~サステナビリティとキャリア~

水素を活用した環境先進都市への貢献

東京ガス株式会社
エネルギーソリューション本部
エネルギー企画部 エネルギー公共グループ
課長 小宮 純 様

インタビュー 注目・話題 国内・国際
臨海部の晴海エリアに建設中の選手村は、「環境先進都市のモデルとなる街」の実現に向けて、東京2020大会後にはエネルギーや交通システムなどに各種の新技術が導入された市街地として再整備されます。
今回は、その中でも特に注目されている水素を活用した選手村地区エネルギー事業について、実施事業者として選定された企業コンソーシアムの代表会社である東京ガス株式会社エネルギーソリューション本部の小宮課長に、水素の導入及びエネルギーとしての将来展望について、お話を伺いました。

最初に、東京2020大会終了後の選手村地区で水素を活用するという東京都の計画についてお話しいただけますか。

東京ガスを含む企業コンソーシアムは、2016年に事業協力者として東京都の選手村地区エネルギー整備計画の策定に携わってきました。東京都は選手村地区における水素供給の意義として、次の3点を挙げています。
 ・エネルギー・環境政策の先進的な取組の実施、PRによる水素社会構築の先導
 ・都市のレジリエンス強化
 ・一般の市街地における事業モデルの構築
このような東京都の計画に対し、首都圏でエネルギー事業を営む一事業者として、協力させて頂いております。

晴海の水素ステーションは、水素をそこで作るのですか?

水素ステーションにはオンサイト方式とオフサイト方式があります。オフサイト方式は他のエリアで製造した水素を持ってくるのですが、大量に水素を使う場合は運搬費用がかかり、非効率です。そこで、街のインフラとなっている都市ガスから改質して取り出した水素を安定供給できるオンサイト方式が、晴海ではもっとも合理的な方法だと思います。

今回の事業で東京ガスが担当される具体的な内容をお話しいただけますか。

当社を含む企業コンソーシアムは、2016年7月から翌3月まで事業協力者として、東京都の選手村地区エネルギー整備計画の策定にご協力させて頂きました。その後、東京都は2017年3月にこの計画を公表し、同年6月に事業実施者の公募を行い、東京ガスを代表会社とする4社(JXエネルギー(現JXTGエネルギー)、東芝、パナソニック)の企業コンソーシアムを同年9月に事業予定者として選定しました。
事業実施に辺り、東京ガスの100%出資子会社である晴海エコエネルギー(株)を同年10月に設立し、水素関連の技術やリソースを集約することで、事業に全力投入できるように致しました。具体的には、晴海エコエネルギー(株)はガス事業法の小売事業者として、お客様に水素を供給する事業の実施主体になります。
東京ガスは、事業が円滑に進むように、代表会社として事業全体を監督する役割を担っています。

今回の事業は導管を使って水素を供給する国内初の民間事業ですので、確実かつ安心・安全にお客様に水素を供給するという重大な責務を晴海エコエネルギー(株)は担っています。特に公衆保安の確保を最優先に水素を供給できるように検討を進めています。


小宮 純(こみや じゅん)
  • 東京ガス株式会社
    エネルギーソリューション本部
    エネルギー企画部
    エネルギー公共グループ 課長

  • 1998年工学系研究科応用化学専攻修士課程修了
  • 同年東京ガス入社 基礎技術研究所配属
  • 家庭用燃料電池エネファームの開発・商品化を担当。
  • 水素ステーション建設の主担当。
  • 2015年より、現職。