専務理事の瀬戸島様に協会の業務や業界の動向、SDGsへの貢献などをお話しいただきました。
公益社団法人日本測量協会についてお話しください。
本協会の設立自体は1951年からですので設立から68年近く経過しています。平成25年の法人改革があり、公益社団法人を目指して、現在に至ります。
本協会の大きな特徴は、個人が正会員であるところです。多くの協会が関連する会社等をメンバー・会員として協会を構成しています。それに比べ私共は測量士、測量士補、土地家屋調査士などの国家資格を持っているような方や、あるいは測量に興味がある方、あとは学生さんや、大学の先生といった方々が個人の会員として所属し、年々その数が増え、現在は1万450名ほどの規模となりました。
どのような業務をされているのですか?
本協会の主な業務は3つで、本部と全国10支部をネットワークして対応しています。
1つ目は「会員業務」で、1万人を超える個人の正会員、準会員(学生会員)、それから賛助会員(法人)約2,200社向けに会員対応を含め様々な業務を行っています。月刊『測量』の発行のほか、数多くの測量関係の専門書や入門書などの出版もしています。
2つ目は、教育・研修業務です。教育研修の部分は体系にして3、4つ柱があるのですが、大きく分けると、まず測量士・測量士補という国家資格の上乗せ教育で、専門的な測量技術者を目指すための教育研修および認定試験からなる地理空間情報専門技術者、この業界では最高峰の民間資格といわれている認定試験による空間情報総括監理技術者、などの認定資格を出しています。認定試験以外にも、今はUAV(ドローン)など新しい測量の技術がどんどん出ているので、そういった最新技術の教育なども行っています。
3つ目は測量検定業務です。現場等で使用する測量機器がきちんとした精度が保持されているか、測量した基準点の成果、作成した地形図(地図)に誤りがないか、これらの検定を全て行っています。これらの測量検定業務の統括的な拠点として、今年9月につくばエクスプレス「万博記念公園駅」のすぐ近くに新築事務所(日本測量協会技術センターつくば事務所)を開設しました。
瀬戸島専務のこれまでのご経歴をお話しください。
1973年に大学を卒業して国際航業(株)(測量事業部門)に入社し、航空写真測量や航空写真を利用した環境調査を経て、人工衛星画像を用いた環境調査や防災に役立てるリモートセンシング技術の応用といった新規性の高い調査・コンサルティングなど研究要素を持った技術開発的な仕事を多く経験しました。その間、社会人博士課程として長崎大学に進学し、博士(工学)を取得しました。
退職する数年前には空間情報技術を里山の利活用と保全管理に使っていくための技術開発に従事し、その間に発表した論文を九州大学に提出し、同大学芸術工学部から二つ目の学位となる博士(芸術工学)を取得しました。
あとは日常的に業務を実施し経験を積む中で技術士資格を取得していきました。測量コンサルティング業務をやっていると測量士はもちろんですが、技術士が必要になってくるので環境、防災、森林、農業と接するチャンスが多かったので、その都度資格取得のための勉強をして、国際航業(株)の在職期間中に7技術部門・9技術士を取得することができました。
リモートセンシングは、狭い範囲だけで捉えると画像処理という専門分野だけに止まってしまい勝ちですが、画像処理した結果をどのように使うか、現実の世界に落としていくことがないと技術は活きていかないので、私はそこを真正面に捉えて仕事をしていきました。そうすると、森林をやっているときは森林の勉強をしなくてはいけないし、農業をやっているときは農業を・・・ということで、徐々にそれらの利用分野の技術士が取れるようになってきました。
技術士資格を取得することによって、お客様も専門家ですので共通の言葉で語ることができ、お客様からの信用も得られました。もし、リモートセンシングの画像処理だけを私がやっていたとすれば、お客様と十分な言葉が相通じなかったと思います。資格を持つことで、「この人は森林分野の技術士」ということで、相手も安心していろいろな相談ができますし、技術的な話も聞いてくれるようになります。そういうチャンスに恵まれたのも国際航業(株)での仕事のおかげだと感謝しております。
公益社団法人日本測量協会
瀬戸島 政博(せとじま まさひろ)
- 公益社団法人日本測量協会 専務理事
- 国際航業株式会社にてリモートセンシングを応用した技術開発に従事。東京大学生産技術研究所客員教授などを経て現職。
- 博士(工学、芸術工学)技術士(7技術部門9技術士)、測量士、空間情報総括監理技術者